ロシア極東対象の電子観光ビザ、移動制限緩和の法案提出

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年02月19日

ロシア下院は2月15日、ロシア極東などを対象に現在導入されているウェブ経由で申請可能な入国ビザ(Eビザ)に関し、ロシア極東連邦管区での外国人観光客の移動制限を緩和する法案が議員立法で提出されたと発表した。

法案はイリナ・ヤロバヤ下院副議長が提出した。同氏によると、ロシア外務省、極東発展省、経済発展省、内務省などの関連省庁や与党「統一ロシア」の支持を得ているという。Eビザ制度は2017年8月1日から開始。当初はロシア極東の地域経済振興を目的に、「ウラジオストク自由港」制度(2017年8月15日付地域・分析レポート参照)対象地域の国境審査場から日本を含む特定国の外国人が入国する場合、ロシア大使館領事部もしくは総領事館にパスポートを提出せずに、インターネット経由で入国ビザの申請を可能にするもの(2018年7月20日記事参照)。

ただ、現状のEビザの発給条件として、a.入国した場所と同一の国境審査場から出国する、b.移動範囲は入国した国境審査場がある連邦構成体(注)内とする、との条件があるため、例えば、ウラジオストクのクネビッチ国際空港から入国し、シベリア鉄道でハバロフスクへ移動して同空港から出国する周遊ルートや、ウラジオストク経由でカムチャツカ地方を観光するといったルートは、Eビザの対象外となっている。

今回の法案は、観光目的のシングル・ビザに限定し、出入国を同一の国境審査場で行う条件を緩和し、ロシア極東管区内の国境審査場であれば入国とは異なる国境審査場からの出国も可能にする。外国人の移動可能な範囲についても、入国した連邦構成体域内からロシア極東連邦管区全域まで拡大される見通し。法案では法律の施行を2022年1月1日からとしているが、下院、上院での審議次第で内容が変わる可能性がある。

プーチン大統領は2月6日、有力ビジネス支援団体の「実業ロシア」の年次総会に出席、国内の観光産業の振興と外国人観光客向けのロシア入国ビザ取得手続きの簡易化を積極的に行う意向を表明している。

(注)日本の都道府県に該当。

(高橋淳)

(ロシア)

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