北京市の2018年GRP成長率は6.6%、投資がマイナスに転じる

(中国)

北京発

2019年02月05日

北京市統計局によると、2018年の域内総生産(GRP)の実質成長率は6.6%で、前年から0.1ポイント鈍化した。全国の成長率(6.6%)と同じで、同市が2018年の目標としていた「6.5%前後」を上回った。北京市政府は、市経済が安定成長を維持する中で、発展の質が高まったと評価した。

産業別にみると、第一次産業は2.3%減で、第二次産業は4.2%増、第三次産業は7.3%増だった(表参照)。

表 北京市の2018年の主要経済指標

工業生産額(一定規模以上の企業が対象、付加価値ベース)は前年比4.6%増で、前年より1.0ポイント低下した。このうち、ハイテク製造業と、新エネルギー車やバイオテクノロジーなどを含む戦略的新興産業はそれぞれ13.9%増、7.8%増と、工業全体より高い伸びになった(注1)。重点産業をみると、医薬製造業が16.2%増、コンピュータ・通信・その他電子設備製造業が15.2%増と大きく伸びた一方、自動車製造業は5.8%減となった。

第三次産業では、金融(前年比7.2%増)、科学研究・技術サービス(10.4%増)、情報伝送・ソフトウエアと情報技術サービス業(19.0%増)などが好調だった。

固定資産投資が前年比9.9%減、消費の伸びも鈍化

固定資産投資総額は前年比9.9%減(このうち、インフラ関連投資が10.7%減)となり、前年の5.7%増からマイナスの伸びに転じた。一方で、第三次産業のうち、情報伝送・ソフトウエアと情報技術サービス業、文化・スポーツ・娯楽業の投資額はそれぞれ31.2%増、11.8%増と高い伸びを示した。

社会消費品小売総額は前年比2.7%増で、前年より2.5ポイント鈍化し、全国の伸び(9.0%)を大きく下回った。このうち、インターネット小売額(注2)は10.3%増と、市の消費全体(2.7%増)と比較すると高い伸びだったが、全国のインターネット小売額の伸び(23.9%増)を大きく下回った。

なお、消費者物価指数(CPI)は前年比2.5%の上昇で、都市部住民1人当たり可処分所得は9.0%増の6万2,361元(約100万円、1元=約16円)となった。

このような消費の鈍化を受けて、市政府は消費拡大に向けた対策を急いでいる。北京市商務局は1月24日、夜間消費拡大に向けた取り組みとして、市内の複数個所に「深夜食堂街」を整備することに加え、飲食店や商業施設、コンビニなどの夜間の営業時間延長を奨励する方針を示した。またミドル・ハイエンド消費の拡大を目指し、10軒以上の越境ECモデル体験店の建設や、新たなエコ消費促進策を実施するとした(「北京日報」1月25日)。

2019年の成長率目標は6.0~6.5%

北京市第15期人民代表大会第2回会議が1月14日に開催され、市政府は2019年のGRP成長率を6.0~6.5%に設定した。またCPI上昇率は3.5%以内、調査失業率は5.0%以内と設定された(「新京報」1月25日)。

(注1)国家統計局は2018年11月、戦略的新興産業の分類を改定している。

(注2)同指標には、インターネット上での商品とサービスの販売が含まれる。

(趙薇)

(中国)

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