鉄鋼輸出の大きな伸びで2018年の貿易赤字は28.4%減
(トルコ)
イスタンブール発
2019年02月08日
トルコ統計機構(TUIK)の発表(1月31日、暫定値)によると、2018年の輸出は前年比7.0%増の1,680億2,339万ドル、輸入は4.6%減の2,230億3,904万ドルとなり、貿易赤字は28.4%減の550億1,565万ドルとなった。
鉄鋼や自動車、一般機械の輸出が牽引
2018年の輸出を品目別にみると、世界の鉄鋼需要の高まりを受け、同部門が前年比40.6%増と輸出を牽引した(表1参照)。次いで、最大の輸出品目である自動車・同部品と一般機械がEU向けの好調に支えられ、それぞれ11.8%増、14.5%増と好調だった。他方、貴金属類は34.1%減と大きく落ち込んだ。
国・地域別にみると、全体の半分を占めるEU向けが13.7%増と輸出を牽引した(表2参照)。うち英国が15.7%増、イタリアが12.9%増となり、最大の輸出相手国であるドイツも6.8%増と堅調だった。他方、米国はトランプ政権が2018年8月に鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を倍増させたこともあり、4.0%減となった。また、イラクも主力となる貴金属類などが不調で、7.8%減だった。
トルコ・リラ減価と内需減退により輸入が減少
輸入を品目別にみると、最大の輸入品目である鉱物性燃料は通貨トルコ・リラ安に加え、原油価格の上昇により上昇傾向が続いていた後、原油価格が2018年10月をビークに下落に転じたこともあり、15.6%増となった(表3参照)。鉄鋼は国内建設需要などによって伸びていたが、8月の通貨危機を背景に9月以降落ち込みが続き、9.8%増にとどまった。また、貴金属類、電気機器、自動車・同部品、プラスチック製品、光学・精密機器などは、トルコ・リラ減価と内需の減退によって前年を下回った。
国・地域別では、全体の36.2%を占めるEUが5.2%減と縮小した(表4参照)。EUでは、スペイン(13.8%減)、オランダ(11.8%減)、イタリア(10.2%減)、フランス(8.2%減)、ドイツ(4.2%減)、などの減少額が大きく、英国を除く主要国は軒並み前年水準を下回った。他方、通商関係の改善が続いているロシアからは、天然ガスを主力に12.7%増となり、輸入全体を下支えした。
2018年9月に発表されたトルコ政府の新経済計画によると、2018年の目標は、輸出が1,700億ドル、輸入が2,360億ドルで、660億ドルの貿易赤字を見込んでいたが、実際には赤字が550億ドルに圧縮された。これは、内需の縮小による輸入減と、トルコ・リラ安などに牽引された輸出増が予想を上回った結果だ。なお、2018年11月にはヨルダンとの自由貿易協定(FTA)が、ヨルダン政府の要請により失効となった。
(中島敏博)
(トルコ)
ビジネス短信 6847e1459c3601a9