香港の中小企業マインド、3年ぶりの低水準に
(香港)
香港発
2019年02月05日
香港の政府系産業支援機関である香港生産力促進局は1月29日、「スタンダードチャータード香港中小企業ビジネス先行指数」を公表した(注)。本指数は、香港生産力促進局がスタンダードチャータード銀行の協力の下、在香港の中小企業約800社を対象に四半期ごとに調査、公表している。
香港中小企業マインドを示す「総合指数」は、採用意欲、投資意欲、売上高(営業状況)、利益、世界経済の5つのサブ指数で構成されている。指数は50が景気見通しについて中立的な立場を示し、50を超えると楽観的、それ未満は悲観的となっていることを表す。
2019年第1四半期の総合指数は、前回発表の2018年第4四半期に比べ2.6ポイント低下の40.4となり、2016年第2四半期以来、3年ぶりの低水準となった(図参照)。
業種別に総合指数をみると、小売業と製造業はそれぞれ36.1(前期から9.2ポイント低下)、34.4(7.0ポイント低下)で、共に調査開始後の最低となった。
東南アジアへの事業展開を検討する企業も
最近の米中貿易摩擦を受け、全体の38%が売上高に影響が出ているとしており(前期から14ポイント増加)、中でも製造業は50%(23ポイント増加)、小売業は42%(24ポイント増加)と、前回調査時に比べると大きく上昇している。
また、81%の企業が、米中貿易摩擦に関する今後の交渉推移を不安視しているほか、23%の企業が東南アジア市場の開拓を検討していると回答している。この数字は、製造業と輸出入・卸売業でそれぞれ30%と、全体よりも高くなっている。
香港生産力促進局のゴードン・ロー副総裁(企業管理担当)は「国際貿易摩擦の影響は、貿易業から他業種へも出始めている。(今回の調査データは)不安定な市場が中小企業のビジネスマインドに影響を与えていることを示している」「生産力促進局では、香港の中小企業がタイ、マレーシア、ミャンマー、ベトナムでビジネスを行うための情報提供セミナーを開催しているほか、今後、スタディミッションも派遣する予定」とし、意欲ある中小企業による海外展開の後押しをしていく考えを示した。
(注)指数の現地語名称は「渣打香港中小企領先営商指数」(Standard Charterd Hong Kong SME Leading Business Index)。なお、調査結果はスタンダードチャータード銀行香港のウェブサイトなどで閲覧が可能。
(渕田裕介)
(香港)
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