ルーマニアは日EU・EPA発効を歓迎、実務者への周知徹底が必要に

(ルーマニア)

ブカレスト発

2019年02月08日

2月1日に発効した日EU経済連携協定(EPA)に関して、ルーマニアの新聞など大手メディアでは特段の報道がされていない。一方、閣僚や商工会議所会頭からは、前向きなコメントが寄せられている。現在、確認されている要人のコメントは次のとおり。

  • シュテファン・ラドゥ・オプレア大臣(ビジネス環境・貿易・起業家精神省):「ルーマニアがEU理事会議長を務める期間中に、EPAの発効を迎えたことは喜ばしい。ルーマニアから日本に輸出実績のある企業271社のうち66%は中小企業だが、彼らにとっても大きなビジネスチャンスだ」(同省プレスリリース2月1日)
  • アナ・ビルチャル副首相:「EPA発効を歓迎するとともに、EU理事会議長国としてもEPA協定の活用と促進に貢献していく」(1月31日の野田仁・駐ルーマニア日本大使との面談で「ナインオクロック」紙)
  • ミハイ・ダラバン会頭(ルーマニア商工会議所):「EPA発効後、ルーマニア企業による活用を促進したい。日・ルーマニア間貿易の発展と関係強化を目指し、商工会議所として2019年内に日本へ経済ミッションを派遣する予定」(2月4日の野田仁・駐ルーマニア日本大使との面談で、ルーマニア商工会議所ウェブサイト)

ルーマニアの対日貿易は、2017年時点で輸出額が約2億3,000万ユーロ、輸入額が約3億5,000万ユーロとなっている。日本への輸出額の6割以上が木材である点が特徴だが、ほかにもワインや蜂蜜などの食品・飲料品、繊維・皮革製品などの日本への輸出促進が期待されている。例えば、ルーマニアワインは安価で高品質なものもあるが、日本でのブランディングが成功しているとはいえず、知名度も限定的だ。しかし、フェテアスカ・ネアグラやフェテアスカ・アルバに代表されるルーマニア固有種のブドウで作られるワインは、認知度が徐々に高まりつつある。EPA発効に先駆け、日本のワイン業者とパートナー協定を結んだワインメーカーもある。

日本からの輸入については、機械類、電気機器、自動車・同部品などが大半を占め、例えば、日本から完成車(関税率10%)を輸入する商社にもメリットがある。進出日系自動車部品企業からは「ルーマニアの税関担当者にEPA発効が周知されておらず、話がかみ合わない」(1月末時点)といった声も聞かれる。日・ルーマニア双方の実務者レベルへ、日EU・EPAの周知徹底を図ることが今後必要だろう。

(山本千菜美)

(ルーマニア)

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