高知の与力水産、ベトナム向け水産品輸出を本格化

(ベトナム、日本)

高知発、アジア大洋州課

2019年02月13日

海産物・乾物の加工・販売、養殖事業などを行う与力水産(本社:高知県宿毛市)は今春、マグロ、タイ、ブリなど鮮魚のベトナムへの本格輸出、現地販売に乗り出す。同社は2018年10月に冷凍のブリ、タイなど13種を5トン輸出していた。

新たに100種以上の魚種を登録

代表取締役の吉村典彦氏は「現地小売業などからのニーズは高い」として、鮮魚の輸出に着手した経緯を話す。ベトナムへの水産食品輸出には、輸出国の管轄当局が発行した衛生証明書、最終加工施設の登録などが必要で、施設登録申請に合わせて輸出品目も申請内容に含まれる。同社によると、2018年10月の冷凍品輸出で15魚種30品目を登録し、1月には鮮魚を含め新たに111種222品目の登録を終えている。

TPP11活用も視野

一方、「鮮魚の輸出に際し、日本側とベトナム側双方で『仕組みづくり』が必要だ」と吉村氏は語る。まず日本側では、輸出に必要な書類手続きをいかに迅速に終えるかがカギだという。前回の輸出同様、日・ベトナム経済連携協定(JVEPA)の活用を想定しており、管轄の商工会議所から原産地証明書を取得する必要がある。鮮魚の場合、可能な限り早く現地へ輸送しなければならず、「原産地証明書を取得できるのが、現状では最も近いところで高松商工会議所のため、当社から車で4時間ほどかかってしまう」(吉村氏)という。そこで同社は、日本とベトナムも参加して2018年12月に発効した環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)により、原産品であることを生産者・輸出者自らが証明する自己申告制度の活用も検討している。

また、管轄の県から発行される衛生証明書の取得に際し、輸出商品の数量を申請する必要があるが、鮮魚の場合は数量を事前に把握することが難しく、申請書類作成に時間を要する、という。こうした手続きに掛かる時間を踏まえ、日本国内の最速の物流ルートも検討中で、ベトナム輸出において「鮮度」へのこだわりを見せる。「ベトナム側でも、商品が現地空港に到着してから、通関、保管倉庫、小売店までの輸送ルートなどの整備が必要」として、吉村氏は2月下旬に現地で輸入卸を担う地場企業と調整を行う。

吉村氏は「現時点では当社商品を中心とした高知県産品を輸出予定だが、将来的には魚類・食品以外の県産品、県外のものも含め海外販路に乗せたい」としている。

(川名洋次郎、小林恵介)

(ベトナム、日本)

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