2018年の実質GDP成長率は6.2%、7年連続6%以上の成長

(フィリピン)

マニラ発

2019年02月01日

フィリピン統計庁(PSA)は1月24日、2018年の実質GDP成長率が前年比6.2%となったと発表した。2012年以降7年連続の6%以上の成長となったが、政府目標である7~8%には届かなかった。国家経済開発庁(NEDA)のアーネスト・ペルニア長官は、物品税の増税、石油価格の上昇、食糧需給のアンバランスなどによって、2018年の通年のインフレ率が5.2%と、政府目標(2~4%)を上回ったことを指摘した上で、「インフレ率が政府目標に収まっていれば、GDP成長率の政府目標を達成できていただろう」と述べた。

GDP成長率を需要項目別にみると、民間最終消費支出が5.6%(前年比0.3ポイント減)、政府最終消費支出が12.8%(5.8ポイント増)、国内総固定資本形成が13.9%(4.5ポイント増)、輸出が11.5%(8.0ポイント減)、輸入が14.5%(3.6ポイント減)とそれぞれ増加した(添付資料参照)。民間消費と輸出が伸び悩んだが、政府消費と設備投資が堅調に推移し、成長を牽引した。国内総固定資本形成では、建設部門が15.1%成長し、耐久機材は建設機械、製糖産業用機械、金属加工機、通信・音響機械などへの設備投資を中心として13.4%成長し、一般機械では空調・空冷、ポンプ・コンプレッサーなどを中心として12.5%伸びた。

産業別にみると、農林水産業が0.8%(3.2ポイント減)、鉱工業が6.8%(0.4ポイント減)、サービス業が6.6%(0.2ポイント減)となった。台風により農業に大きな被害が生じたこともあり、農林水産業は成長が鈍化した。鉱工業のうち製造業は2015年以降一貫して前年を上回る成長率にあったが、2018年の成長率は4.9%と、前年の8.4%を下回った。

GDPの約6割を占めるサービス業では、政府サービスが14.6%(6.8ポイント増)、運輸・通信・倉庫が5.1%(1.1ポイント増)とそれぞれ前年を上回る成長率になったが、金融、不動産・BPO関連などは減速した。

フィリピンの2019年のGDP成長率について、世界銀行とアジア開発銀行はそれぞれ6.5%、6.4%と予測している。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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