3月2日予定の対中追加関税率の引き上げを延期

(米国、中国)

ニューヨーク発

2019年02月26日

トランプ米大統領は2月24日付のツイートで、1974年通商法301条に基づく、中国からの輸入に対するリスト3〔対中輸入額2,000億ドル相当の5,745品目(米国関税率表の上位8桁、一部品目は部分的に対象)〕PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の追加関税率(現行10%)の25%への引き上げを、当初予定していた3月2日から延期する考えを示した。中国政府との協議において、知的財産権保護、技術移転、農業、サービス、外国為替などの構造的な問題について、重要な進展がみられたことを理由として挙げた。協議がさらに進展した場合には、最終合意に向けて、フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘で習近平国家主席と首脳会談を行うとしている。首脳会談の実施時期は不明だが、CNBC(2月22日)は関係者の証言として、3月下旬の実施が検討されていると報じている。

ただし、トランプ大統領は新たな延期期限の期日を示していない。米通商代表部(USTR)も関税率引き上げの期限を変更する官報や正式な声明はいまだ出しておらず、詳細は依然不明となっている。

品目別適用除外制度の設置動向にも注目

2月15日に成立した2019年度(2018年10月~2019年9月)の包括歳出法案の解釈文書(explanatory statement)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)には、リスト3の追加関税に関する品目別適用除外制度(注1)を、法案成立後30日以内に設置することを義務付ける文言が盛り込まれた。解釈文書には法的拘束力はないが、通常、関係省庁は記載事項に従う(注2)。ただし、リスト3の適用除外制度の設置に関する対応について、USTRからの発表は現時点でされていない。

なお、ロバート・ライトハイザーUSTR代表は1月11日、リスト3の関税率引き上げを行った場合には、品目別適用除外制度を設置する考えを示していた(2019年1月18日記事参照)。

(注1)USTRは、1974年通商法301条(以下、301条)に基づいて賦課している対中追加関税について、2018年7月6日に発動したリスト1(対中輸入額340億ドル相当のHTSコード上位8桁ベース818品目PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))と、同年8月23日発動のリスト2(対中輸入額160億ドル相当の279品目PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))に関しては品目別適用除外制度を設けているが、リスト3については設けていない(2018年9月25日記事参照)。リスト1の品目別適用除外制度の概要については2018年7月12日記事を、リスト2の制度概要については2018年9月19日記事を参照。なお、USTRは2018年12月28日、リスト1の適用除外結果の第1弾を発表している(2019年1月4日記事参照)。

(注2)議会調査局レポート(2015年7月28日)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照。

(鈴木敦)

(米国、中国)

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