EPA発効に合わせた対日ビジネスセミナー、スペインでも期待高まる

(スペイン)

マドリード発

2019年02月12日

2月1日に発効した日EU経済連携協定(EPA)について、スペインでもこれを歓迎する報道などが目立った。

スペイン国営放送(RTVE)は「EPAはスペイン企業にとって、年間10億ユーロのコスト削減となる」とメリットを強調した。EU側で交渉プロセスに携わったインマクラーダ・ロドリゲス・ピニェーロ欧州議員のコメントとして、「EUのアジアでのプレゼンス拡大という意味での地政学的重要性が高い。日本とEUは、保護主義とは逆の多国間のルールに基づいた国際取引や、気候変動問題にコミットした通商関係の構築という方向へ向かっていることをアピールできた。EPAにより、スペイン企業は構造改革なしに15%を超えるコスト削減が実現できる。当然、活用すべきだ」と報じている。

ジェトロは2月1日、EPA発効に合わせて、スペインの産業・商業・観光省、スペイン貿易投資庁(ICEX)、ならびにスペイン経団連(CEOE)と「対日ビジネスセミナー」を共催した。日本側からは水上正史駐スペイン大使とジェトロの赤星康副理事長らが登壇し、日EU間および日スペイン2国間関係が双方にもたらす重要性やビジネス機会について講演した。

スペイン側は、在日大使館のコリセオ・ゴンサレス・イスキエルド商務参事官が講演し、ワインや豚肉などの農産物・食品、靴・衣料品、化学品、また金融や輸送サービスの分野でのメリットを強調、「多くのスペイン企業にとって日本は、アジアにおけるショーケースで、(東南アジアなど)第三国市場への足掛かりにもなる」と日本市場の戦略的重要性にも触れた。

また、産業・商業・観光省のマリア・アパリシ欧州・アジア大洋州通商政策局次長は、スペイン企業が特に恩恵を受ける点として、「地理的表示(GI)の保護と、関税撤廃および規格認証などの技術的障壁の解消、日本での公共入札へのアクセス」の3つを挙げた。

さらに、CEOEのナルシソ・カサード国際本部長は「日EUの経済・ビジネス関係にとって重要な節目だ。スペイン企業は、これまで日本市場において医薬品や農産物・食品、衣料品、再生可能エネルギー、自動車の分野で足場を固めてきたが、EPA発効により、その他の分野でも参入、成長する大きな潜在性が生まれた。EU主要国の中では、まだまだ日本での存在感が薄いスペインにとっては、特に大きな商機となる」と期待を込めた。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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