英独仏3カ国、対イラン取引決済のためのSPVを設立

(英国、ドイツ、フランス、EU、イラン、米国)

ブリュッセル発

2019年02月05日

英国とフランス、ドイツのEU加盟3カ国の外相は1月31日付の共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、イランの核開発に関する「共同包括行動計画(JCPOA)」の実施継続に向けて、同国との円滑な金融取引のための特別目的事業体(SPV)である「貿易取引支援機関(Instrument for Supporting Trade Exchanges:INSTEX)」を設立したと発表した。2018年5月に米国がJCPOAから離脱し、対イラン制裁を再開したことを受け、二次的制裁を懸念する欧州企業に合法的な決済手段を提供することが目的だ(2018年9月27日記事参照)。

運用開始に向けて業務の詳細など検討

INSTEXにより、EU企業はイランとの取引におけるユーロ建て決済が可能となる。同機関は当面、イランでの需要が大きい医薬品や医療機器、農産品、食品などの必需品の取引を重点的に支援する予定。また、長期的には、EU域外の第三国の企業がINSTEXを利用できるようにすることも目標に定めており、英国とフランス、ドイツはその実現に向けた方策を検討するとしている。

3カ国は今後、INSTEXの運営に向けた具体的な業務の詳細を同機関とともに検討し、運営に必要となるイラン側の実効性と透明性ある事業体の創設に向けてイランと共同で取り組む。特に、関係する欧州各国にINSTEXを拡大しながら、作業を進める意向だ。

EUのフェデリカ・モゲリーニ外務・安全保障上級代表(欧州委員会副委員長兼務)は同じ日にINSTEXの設立を歓迎する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表。企業がイランとの合法的な取引を行う上で必要な枠組みを提供するものとなると期待を示し、同機関の運用開始に加え、EU加盟国への拡大と域外第三国の企業にも利用可能とするための支援を行うと述べた。なお、報道によると、INSTEXはフランスのパリに登記されている。

(村岡有)

(英国、ドイツ、フランス、EU、イラン、米国)

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