たばこ製品の包装標準化、プレーンパッケージ規制が国会で可決

(シンガポール)

シンガポール発

2019年02月27日

シンガポールの国会で2月11日、たばこの包装を簡素化した「プレーンパッケージ」を義務付ける改正たばこ法が可決・成立した。同国で販売されるたばこ製品の包装について、ブランド独自のロゴや色、デザインなどを印刷することを禁止し、標準化されたフォントや色でのブランド名表示を義務付ける。また、歯周病など喫煙による健康への影響をより示すため、包装に占める警告表示の割合を現行の50%から75%まで拡大する。

プレーンパッケージ規制は、包装を標準・画一化することで、広告効果を削減し、喫煙者数の減少を目指す仕組み。オーストラリアやフランスなど、一部の国では喫煙対策の一環として既に導入されている。

シンガポール保健省(MOH)によると、喫煙は、シンガポール国民の主な疾病・死亡の原因となり、毎年2,000人以上が喫煙に起因する疾病で死亡している。エドウィン・トン上級国務相(保健担当)は、同規制によって喫煙者に禁煙を促し、非喫煙者に喫煙を思いとどまらせ、「たばこのないライフスタイルを国民に奨励する」と述べた。

なお、MOHは、包装の仕様や導入時期などの詳細を、近く発表する予定だ。

在シンガポール日系企業からは他産業への波及を懸念する声も

今回の規制について、在シンガポール日系企業の中には、知的財産権の侵害や他の産業への波及を危惧する声もある。シンガポール日本商工会議所(JCCI)は2018年4月、シンガポール貿易産業省(MTI)に対して、規制導入に当たって慎重な検討を求める意見書を提出していた。

企業からは、公衆衛生のためのたばこ規制の必要性は理解した上で、同規制により、商品の出所表示や品質保証など商標の基本的な機能が阻害される恐れがあるほか、不法取引業者による偽造品の製造を誘引するもの、との指摘がある。今後はアルコール、食品や飲料を中心とした他の製品にも、同様の規制が導入される可能性があることへの懸念を示す声もある。

(源卓也)

(シンガポール)

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