米投資会社がアルゼンチン最大手の決済プラットフォーム企業を買収

(米国、アルゼンチン)

米州課

2019年02月05日

米国の投資会社アドベント・インターナショナルは1月22日のプレスリリースで、アルゼンチン最大手の決済プラットフォーム提供企業プリスマ・メディオス・デ・パゴの株式51%を、約7億ドルで取得したことを発表した。残りの49%はプリスマの既存株主が保有する。アドベント・インターナショナルは、プリスマの評価額を14億2,000万ドルとしている。

プリスマは2014年に、米国のビザのアルゼンチン現地法人と、地場銀行バネルコにより共同出資で設立された。決済システムの構築を得意とし、企業間(BtoB)だけでなく、端末間決済(P2P)のプラットフォームを提供する。主なブランドには、LaPOS(POS端末)、Banelco(ATMネットワーク)、Pagomiscuentas(電子請求決済システム)、Decidir(電子商取引ゲートウェイ)、TodoPago(QRコード端末支払い)などがある。アルゼンチン国内では、通信会社や携帯電話会社を含めた民間企業はもとより、官公庁のシステムにも導入されている。国外では、米国とカナダを含む米州14カ国で利用されており、60以上の金融機関を介した取引件数は年間70億件に上る。

アドベント・インターナショナルは、1894年に設立されたプライベート・エクイティー投資会社で、2018年9月30日現在での運用資産は390億ドル。中南米での事業歴は22年で、60以上の企業に約67億ドルを投資してきている。アルゼンチンでは1998年以来、金融サービスやビジネスソリューションサービス、医薬品分野など合計6業界へ投資をしている。

クレジットカード利用とスマホ決済が伸びる

アルゼンチン中央銀行によると、2018年9月時点での国内のクレジットカード発行枚数は720万枚で、所有者は567万人、1人当たりのカード保有枚数は1.27枚となっている。また、アルゼンチンクレジットカード会議所(ATACyC)の最新データによれば、2018年11月のクレジットカードおよびデビットカードの利用は前年同月比14%増だった。取引種別では、スマートフォンを介した決済が34%増と大きく伸びた。他方、2018年の第2四半期からの通貨下落に伴う金利の大幅引き上げにより、クレジットカードでの決済額は、家庭消費財(前年同月比マイナス23%)や家具(マイナス19%)での落ち込みが目立った。

(志賀大祐)

(米国、アルゼンチン)

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