2019年度予算が成立、再度の政府閉鎖は回避

(米国)

ニューヨーク発

2019年02月22日

米国議会は2月14日、7つの歳出法案をパッケージとした2019年度(2018年10月~2019年9月)包括歳出法案を可決し、翌15日にトランプ大統領が署名して成立した。同法案の成立により、暫定予算で執行されていた国土安全保障、農務、商務・司法・科学、国務・外交、運輸・住宅開発など7部門の予算が成立した。南部国境の壁建設費用をめぐる与野党の対立により、政府機関の一部が35日間の閉鎖に陥るなどし、再度の政府閉鎖が懸念されていたが、回避されたかたちとなった。

トランプ大統領は南部国境の壁建設費用として、57億ドルを国土安全保障部門の予算案に盛り込むことを要求していたが、関連予算は南部国境55マイル(約89キロ)分の物理的障壁設置費用とする13億7,500万ドルにとどまった。また、予算案の成立に合わせてトランプ大統領は2月15日に記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開き、不法移民の流入による南部国境の安全保障のため国家非常事態を宣言、国境の壁を建設する意向を明らかにした。国家非常事態の宣言により、トランプ大統領は米議会の承認を経ずに、大統領が持つ権限によって、議会が策定した予算の一部を特定の目的に振り分けることができるとしており、他の予算を国境の壁建設費に充当するとみられる。

トランプ大統領による国家非常事態の宣言に対して、2月18日にカリフォルニアなど16州(注)は、別の目的のために議会承認された予算を、非常事態宣言によって南部国境の壁建設費用に転用することは違憲だとして提訴した。

(注)訴訟に加わったのはカリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、デラウェア州、ハワイ州、イリノイ州、メーン州、メリーランド州、ミシガン州、ミネソタ州、ネバダ州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、ニューヨーク州、オレゴン州、バージニア州の16州。このうち、メリーランド州知事(共和党)を除く州知事はいずれも民主党知事。

(須貝智也)

(米国)

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