深刻化するバンコクの大気汚染、進出日系企業に影響も

(タイ)

バンコク発

2019年02月01日

タイ政府は、大気汚染が深刻化している現状を受け、1月31日からの2日間、バンコク市内および周辺部の幼稚園、学校、各種専門学校の臨時休校を決定した。テーラキアット教育相は「来週も臨時休校とするかどうかは今後判断する」と述べ、生徒の健康への影響を考慮しつつ、大気汚染の状況を注視する姿勢を示した。

バンコク都はPM2.5を低減させるべく、50機のドローンを活用し、水を空中散布する措置を行っているほか、マスクなどを都内の学校に配布する準備を始めた。また、都内で建設工事を行っている建設会社を招き、建設現場における効果的な粉じん対策について話し合う場を設けることを決めた。来週以降、さらに厳格な措置を実施するとも表明している。

このような状況を受け、プラユット首相は「黒い排ガスを出す車両や公共バスはすぐに廃棄すべきだ。また、違法に有毒物質などを排出している工場を特定すべく、軍が立ち入り調査を行う予定だ」と述べた。もしも、今後状況が改善しない場合は、奇数日もしくは偶数日のみに自動車の運転を認める措置の実施や、特定地域へのディーゼル車の乗り入れを禁止する措置なども実施する検討に入ったことを示した。さらに、プラユット首相は「朝、昼、夜、その他粉じんの量が多い時間帯において、一時的に操業が停止できるよう、企業は準備しておくべきだ」と述べ、今後、タイ政府が一段と強い措置に踏み込む場合は、日系企業の操業にも大きな影響が出る可能性もある。

現地報道によると、バンコク都内10カ所の観察地点における平均のPM2.5濃度は、1平方メートル当たり65マイクログラムと、タイ政府が安全と見なす50マイクログラムを大きく上回っている。また、バンコク周辺部では、137マイクログラムを計測した地域もあり、都心に限らず周辺部でも高い水準が続いている。

写真 遠くのビルがかすむバンコク市内の状況(ジェトロ撮影)

遠くのビルがかすむバンコク市内の状況(ジェトロ撮影)

写真 マスクを着用する人が多いバンコク市内(ジェトロ撮影)

マスクを着用する人が多いバンコク市内(ジェトロ撮影)

(阿部桂三)

(タイ)

ビジネス短信 04eeff905a07527f