ボルソナーロ大統領、ビジネス環境整備に注力する方針を表明
(ブラジル)
サンパウロ発
2019年01月28日
ブラジルのボルソナーロ大統領は、スイスのダボスで2019年1月22~25日に開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)に参加した。大統領は開会式における演説で、自身の任期中(2022年末まで)に、世界におけるビジネスのしやすさランキングで、50位圏内を目指す方針を表明した。世界銀行のビジネス環境調査「Doing Business」の2019年版で、ブラジルは190カ国中109位に位置している。同じ中南米のメキシコが54位、チリが56位にある。ボルソナーロ政権では、財政収支均衡、市場開放、民営化など「小さい政府」を掲げており、演説の内容はその方向性に沿ったもの。
ダボス会議の開会式で演説
具体的には、税負担を軽減、規則を簡素化し、生産、起業、投資、雇用を創出する事業者を取り巻く環境の改善について説明した。また、マクロ経済の安定を維持し、契約を尊重して民営化を進め、財政健全化を図る方針を語った。さらに、ブラジル経済は依然として対外開放が遅れていることを指摘し、国際的なベストプラクティスを導入することにより、世界経済との統合を進めるとした。
国連統計局の資料によれば、ブラジルは2017年時点のGDPに占める輸出額の割合は12.6%、輸入額は11.6%と、メキシコのそれぞれ37.6%、39.4%と比較して低い水準にとどまる。なお、ブラジル政府は2017年5月に、正式にOECDへ加盟を申請しており、その手続きが進んでいる。
さらに環境保全、生物多様性保護と経済開発の調和、私有財産の保護、第4次産業革命に向けた若者の教育、社会的不平等や貧困の削減の必要性を述べた。
なお、大統領に同行したパウロ・ゲデス経済相は、ダボスでの投資家との会合や、マスコミの取材に対して、社会保障制度改革をはじめとした財政均衡策などについて説明をした。経済成長を阻害する過大な財政支出は、経済面だけでなく政治環境にも影響を与えたとし、重要な経済改革に加えて、民営化や規制緩和を進める考えをあらためて示した。政府予算案によれば、2019年の基礎的財政収支は1,390億レアル(約4兆310億円、1レアル=約29円)の赤字が見込まれているが、社会保障費の削減や民営化、補助金・税インセンティブの削減などにより、2019年中にも赤字を解消する意向を述べた。
(二宮康史)
(ブラジル)
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