欧州委、カンボジアとミャンマー産インディカ米輸入にセーフガード
(イタリア、EU、カンボジア、ミャンマー)
ミラノ発
2019年01月24日
欧州委員会は1月16日、カンボジアおよびミャンマー産インディカ米に対して、暫定的な緊急輸入制限(セーフガード)措置の導入を決定した。同措置は、欧州委員会実施規則〔(EU)2019/67〕として翌17日のEU官報に掲載され、1月18日から、これまで一般特恵関税(GSP)の適用により、無税となっていたカンボジアとミャンマーからのインディカ米への輸入関税が3年間導入されることになった。関税率は、最初の1年間は1トン当たり175ユーロ、その次の1年間は150ユーロ、3年目は125ユーロと定められた。
欧州委にセーフガード発動を強く要求したのは、約4,000社あるといわれ、欧州のコメの総生産高の約半数を占めるイタリアのコメ生産者たちで、カンボジアやミャンマー産の米により、厳しい競争にさらされていた。加えて、カンボジアは消費者向けに包装したコメも輸出するようになっており、コメ生産者のみでなく、コメの包装企業の間でも懸念が広がっていた。農業組合(Coldiretti)や米産業協会(Airi)の声を受けたイタリア政府は、コメを生産しているEU加盟国(フランス、ポルトガル、スペイン、ギリシャ、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー)の支持を得て、2018年2月に欧州に対して正式に、カンボジアとミャンマーのインディカ米へのセーフガード措置導入の要求を通知していた。
欧州委は2018年3月に調査に着手し、欧州各国の統計、関連企業へのアンケートなどを通し、2012年から2017年までのコメの生産高、輸入量、価格などに関わる調査を実施、その結果、両国からのインディカ米の輸入増加は、欧州の米生産者に経済的な損失を与える水準にあることを示すものだと結論付けた。
米産業協会のマリオ・フランチェーゼ会長はこれについて、「3年後、再び関税がゼロに戻ることを心配しているが、その時にはまた交渉を再開させるつもりだ」と述べた。
(佐野さつき)
(イタリア、EU、カンボジア、ミャンマー)
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