産業界、政府・議会に早急な対応を求める

(英国)

ロンドン発

2019年01月17日

1月15日夜に英国議会でEU離脱(ブレグジット)に関する政府案が大差で否決された(2019年1月16日記事参照)ことを受け、英国の各産業団体が声明を発表した。

英国産業連盟(CBI)のキャロライン・フェアバーン事務局長は「直ちに新たな方策が必要」として、政治に早急な対応を求めた。英国商工会議所(BCC)は、国民投票後に政治的リスクの高い状況が2年半続いていることを「止まる気配のないジェットコースター」と表現、企業が非常に不安定な状況に置かれ続けているとし、同じく政府に喫緊の措置を求めた。

英国経営者協会(IoD)のステファン・マーティン事務局長は政治家に対して、意見の違いをさておき、ブレグジットに関する合意を優先するよう求め、「企業はノー・ディール(合意なき離脱)初日にどう対応すべきかなどの基礎情報さえいまだに分かっていない。不透明な状況が継続することは容認できない」と述べた。英国製造事業者連盟(EEF)のステファン・フィプソンCEOも「企業が苦しむ中、議会ではお笑い劇が続いている」と非難し、政府と議会が団結して迅速に動く必要があると訴えた。スモールビジネス連盟(FSB)のマイク・チェリー議長は、中小企業にはブレグジットに対応するための移行期間が不可欠とし、議員に団結と即座の対応を求める。FSBによると、中小企業の4割が2019年第1四半期(1~3月)の業績悪化を予想し、3分の2が設備投資を予定しておらず、3分の1は人材不足が成長の障壁になっているという。

英国自動車製造販売者協会(SMMT)のマイク・ホーズ会長は、ブレグジットをめぐる悪影響が既に出ているが、EUとの断絶は比較できないほど大きな混乱を生むとした。現在のジャスト・イン・タイムのサプライチェーンの途絶は、月や週単位ではなく時間単位で影響を及ぼし、「管理されたノー・ディール」でも部品調達の不足や追加コストなどが直ちに発生するとして、政府と議会に対しノー・ディールのリスクを排除するよう求めた。

(木下裕之)

(英国)

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