2018年第3四半期の貿易赤字は2008年以来の高い水準に

(米国)

ニューヨーク発

2019年01月09日

米国商務省が2018年12月19日に発表した第3四半期(7~9月)の貿易統計(国際収支ベース、季節調整済み)によると、輸出(財・サービス)が前期比0.9%減の6,294億ドル、輸入は2.4%増の7,881億ドル、貿易赤字額は前期より241億ドル多い1,587億ドルで、2008年第3四半期以来の高い水準となった(添付資料参照)。

対日赤字は2011年第2四半期以来最少に

対日赤字は減少し、2011年第2四半期(4~6月)以来最少の160億ドルだった。対中国赤字は、第2四半期にいったん減少したものの再び増加し、1,061億ドルとなった。

大豆などが輸出減に影響

財、サービスの内訳は、財が2,270億ドルの赤字、サービスが684億ドルの黒字となった。財貿易をみると、輸出が前期比1.8%減の4,218億ドル、輸入が2.6%増の6,488億ドルとなった(表参照)。

表 2018年第3四半期の主要財別貿易(国際収支ベース、季節調整済み)

輸出を主要財別にみると、工業用原材料以外は、全てで減少した。個別財でみると、大豆(24.9%減)、民間航空機(7.5%減)、乗用車(カナダ向け以外、9.1%減)などが主な押し下げ要因となった。大豆は、最大の輸出相手国だった中国が2018年7月6日より1974年通商法301条に基づく関税賦課に対する報復として25%の追加関税の賦課を開始したことが影響したとみられる。乗用車も、中国向けが同報復関税に加え、国内の販売減などによる減少などが影響した(注)。

輸入を主要財別にみると、全て前期比でプラスとなった。個別財でみると、石油および石油製品(5.6%増)、家庭・台所用器具およびその他家庭用品(携帯電話を含む)(8.5%増)、トラック・バスなど(カナダ向け以外、26.4%増)などが押し上げ要因となった。3月23日に発動された1962年通商拡大法232条に基づく追加関税の対象品目になった鉄鋼・アルミニウム製品に関しては、鉄および鉄鋼製品が前期比0.6%減、ボーキサイトおよびアルミニウムが0.4%減少した。

なお、サービスについては、輸出では知的財産使用料、金融サービスなど、輸入では旅行、知的財産使用料、輸送などがそれぞれの伸びに寄与した。

2018年10月の貿易赤字(財・サービス)は、輸出が減少し、輸入が増加したことで前月比9億ドル増と拡大した。財の輸出は引き続き大豆などが減少し前月比0.3%減、輸入は医薬品などが増加し0.2%増となった。

(注)自動車情報サイトマークラインズによると、中国の乗用車販売台数は前期比で、第3四半期が3.4%減、第2四半期が7.0%減となった。

(大原典子)

(米国)

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