ハノイで「テストキッチン」、味覚の違いを実感

(ベトナム)

ハノイ発

2019年01月28日

ジェトロは1月10日から20日にかけて、ハノイの日系大型商業施設イオンモール・ロンビエンで「テストキッチン」事業(注)を実施した。同事業は、現地出店に向けて模擬店舗を設置し、食材の調達、嗜好(しこう)性、メニューの再現性など検証するもので、ハノイでの開催は前年に続き2回目。今回は、みそラーメン、汁なし担々(たんたん)麵、肉豆腐、焼肉丼などを主力商品とする5つの飲食店が、日本から出店した。

味覚の違いは塩味で顕著に

出店者は、事前にベトナム出張や日本在住のベトナム人へのヒアリングなど、提供する料理をベトナム用に調整して臨んだ。特に、味覚の面では、日本で提供している料理よりも塩味を抑えたところが多かった。それでも、テストキッチンに来店したベトナム人を対象に、食後アンケートを実施したところ、塩味、甘味、うま味、酸味、辛味の中で、改善要望が一番多かったのが塩味だ(図参照)。

図 テストキッチンで食べた料理の味の評価

塩味について、「もっと薄く」「もう少し薄く」と回答したベトナム人が3割を超えた要因として、普段食べているベトナム料理との違いが挙げられる。ベトナム料理は塩味が控えめのものが多く、例えばフォ-(コメの麺)のスープは出汁の効いた薄味が一般的で、ベトナム人はそれぞれの好みに合わせ、テーブルに備え付けの調味料を加えて味を調整している。

この結果を踏まえ、出店者は会期中に味の調整を試みた。提供する料理のベースは薄口でつくり、付属のたれなどで味を調整できるようにしたり、野菜を増やして相対的に感じる塩気を落としたりと、さまざまな工夫がみられた。野菜を増やすことは、ヘルシーさとボリューム、見た目の鮮やかさの演出にもつながった様子で、慣れない日本料理に興味を持ってもらうには、まず料理の写真と実物の見栄えが大事だとの意見もあった。

会期の終了後、出店者からは「提供価格の設定もさることながら、いかに日本食の本質を落とさずに、ベトナム人にも喜んでもらえる料理を提供するか勉強になった。出店に向けて、事業計画を練り直したい」との声が聞かれた。

写真 ハノイのテストキッチンの様子(ジェトロ撮影)

ハノイのテストキッチンの様子(ジェトロ撮影)

(注)海外の商業施設(店舗やフードコートなど)内において実施。現地出店に向けた事業可能性を検証するもの。

(庄浩充)

(ベトナム)

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