第2次マドゥロ政権発足、米州機構は非合法と反発強める

(ベネズエラ)

ボゴタ発

2019年01月11日

ニコラス・マドゥロ大統領は1月10日、最高裁判所で2期目の就任宣誓式に臨んだ。任期は2025年1月までの6年間。憲法第231条によると、大統領の宣誓は、現在反対派を中心に構成されている国民議会で行われることになっている。しかし同条では、何らかの原因で国民議会での宣誓が不可能な場合は最高裁で行うことが認められていることから、この方式が採られた。大統領選挙は、マドゥロ氏派議員が占める制憲議会により2018年5月20日に実施されたが、選挙結果自体を認めていない国が多く、第2次マドゥロ政権に対する国際的な圧力はこれまで以上に高まりそうだ。

宣誓式にはキューバのディアス・カネル国家評議会議長、ボリビアのエボ・モラレス大統領、エルサルバドルのサンチェス・セレン大統領、ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領といった左派政権の国家元首級が参列した。また、ベネズエラ政府系広報機関AVNの発表によると、ロシア、中国、トルコなどからも計94人の海外代表が参加した。

他方、米州機構(OAS)は1月10日、マドゥロ大統領の第2期就任を非合法とし、自由公正で透明、合法なプロセスを保証する大統領選の実現を求める決議を承認した。参加34カ国中、米国やカナダをはじめ中南米・カリブ地域の19カ国が賛成し、ニカラグア、ボリビアなど6カ国が反対に回った。メキシコは棄権した。また、パラグアイのマリオ・アブド・ベニテス大統領は同日、ベネズエラとの国交断絶と大使館の閉鎖を表明した。

首都では大規模な衝突見られず

宣誓式当日は、首都カラカス市内でも野党の呼び掛けによる反対集会が予定され、治安部隊や政府系の武装組織との衝突が懸念されたが、散発的な集会に終わったもよう。食料や医薬品といった物資不足、公共サービスの低下といった日常的な問題の解決に直面するなか、政治的な反対運動への疲れの雰囲気が支配しているとの指摘もある。

(マガリ・ヨネクラ、豊田哲也)

(ベネズエラ)

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