ペルー政府、リマグループと共に暫定大統領を承認

(ペルー、ベネズエラ)

リマ発

2019年01月29日

ペルー外務省は、1月23日付の同省ウェブサイトならびにツイッターアカウントを通じての公式声明(007-19号)において、ベネズエラのフアン・グアイド国民議会議長を暫定大統領として、承認・支持することを表明した。また、リマグループ(注1)の14カ国中、同日付の共同声明(003-19号)で、支持を表明した11カ国にペルーも名を連ね、グアイド暫定大統領の就任と、ベネズエラの早期民主化移行のためのプロセスへの支持、ならびに武力衝突に対する非難を表明した。

また、世界経済フォーラム(ダボス会議)に出席したペルーのメルセデス・アラオス副大統領も、同会議に出席したコロンビアのイバン・ドゥケ大統領と、ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領、カナダのクリスティア・フリーランド外相と共に、暫定大統領への支持を表明した。一方、ペルー経済界では、全国経営者団体連合会(CONFIEP)が、民主的に選出された、国民議会への支持を表明している。

一方、ベネズエラの政治および経済における混乱は、多くの周辺国への難民を生じさせており、ペルーはコロンビアに次いで、第2の難民受け入れ国となっている。その間、ペルー政府は、2017年1月3日付政令(002-2017-IN号)で、ベネズエラ国籍保有者に対する臨時滞在許可書(PTP)の発行を行ってきたが、2018年8月12月付政令(007-2018-IN号)により、同許可書を受けるための最終入国日を2018年10月31日(注2)としたため、同日までに入国者が急増した。ロサーナ・デル・アギラ・ツエスタ入国管理局長によると、ペルーには現在、63万5,000人のベネズエラ移民が入国しており、PTP最終日の10月31日までの入国者は55万8,000人に上ると発表している(「エルコメルシオ」紙2018年12月21日)。

また、これらの移民に対する意識調査を、「エルコメルシオ」紙とIPSOSが共同で2018年9月に首都リマ市民に実施したところ、55%が「否定的」(低い賃金で働くためペルー人の雇用を脅かす、非正規雇用を助長、犯罪増加など)、37%が「肯定的」〔連帯国としてみている、国内消費の増加、労働力(低コスト)など〕な回答だった。また、58%の市民がベネズエラ移民に対する差別的な言動を見聞きしたとしており、中間に位置付けられるC層おいてはその数値が63%に上っている。

この様な背景から、国家統計情報庁(INEI)は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界銀行などの協力の下で、2018年11月26日から12月31日にかけて、自国のベネズエラ移民に対する生活環境調査を実施しており、同調査の結果を基に、ベネズエラ移民に対する支援策を検討する、としている。

(注1)リマグループとは、ベネズエラの民主主義回復を支援するために、オープンなかたちでフォローするための外相グループ。承認国:アルゼンチン、カナダ、グアテマラ、コスタリカ、コロンビア、チリ、パナマ、パラグアイ、ブラジル、ペルー、ホンジュラス(不参加:ガイアナ、セントルシア、メキシコ)。

(注2)2018年10月31日までの入国査証を有する者は、2018年12月31日までPTP発行手続きの権利を得られる。

(設楽隆裕)

(ペルー、ベネズエラ)

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