発電所用の需要後退で、2018年の石炭消費量は過去39年間の最低水準

(米国)

米州課

2019年01月31日

トランプ大統領が石炭復権を目指す一方で、石炭産業の衰退に歯止めがかからない。米国エネルギー情報局(EIA)の推計によると、米国の石炭消費量は2018年に6億9,200万ショートトン(ST)と、2017年の7億1,685万STから減少し、過去39年間で最低水準に落ち込んだ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。国内の石炭消費の9割以上が電力部門だが、燃料別発電量で、石炭火力発電のシェア(2018年:28%)は、3年連続で天然ガス火力発電のシェア(35%)を下回っている。2018年には発電容量15ギガワット(GW、原発15基分相当)の石炭火力発電所が廃止され、石炭消費量の減少に拍車を掛けている。

生産量も減少している。EIAによると、2018年の米国の石炭生産量は7億5,500万STで、2017年より2,000万ST減少し、過去10年間で36%減少した。産炭地別では、中央アパラチア炭田とイリノイ炭田の生産量は、2018年には前年比でそれぞれ4%増(300万ST)と2%増(200万ST)と微増したものの、ロッキー山脈炭田は、12%減(600万ST)と最大の落ち込みを記録し、パウダーリバー炭田も3%減、北部アパラチア炭田も2%減となった。

国内需要が低迷する中で、石炭輸出はアジアや欧州諸国向けを中心に、2018年には1億1,600万STと2年連続で増加した。輸出量は米国の総石炭生産量の15.4%に達したものの、2012年の輸出1億2,570万トンには届いていない。

トランプ大統領は、連邦政府所有地での石炭鉱区権設定の凍結解除、水質浄化法の下で石炭企業に義務付けてきた炭鉱近くの水質検査、採掘後の水量の原状回復を義務付けてきた水源規制(WOTUS)の緩和PDFファイル(1.1MB)など、規制緩和策を打ち出してきたが、経済性の観点から、消費が減っている石炭産業の復権には結び付いていない。

(木村誠)

(米国)

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