ボロネジ州に工業生産用途の特区を設置

(ロシア)

モスクワ発

2019年01月17日

連邦政府は2018年12月30日、ボロネジ州ノボウスマンスキー地区に工業生産用途の特別経済区(SEZ)「ツェントル」の設置に関する連邦政府決定に署名した。工業生産用途の特区の設置は、ロシア国内で10カ所目(注)。

SEZ「ツェントル」において発展が期待されている産業は、冶金(やきん)、化学、建材、食品機械、重機械、エネルギー設備、電気化学・ケーブル、石油ガス設備、工作機械、造船、無線工学、製薬・医療、民間航空機製造、エンジン製造など。

ボロネジ州政府は、最低で29億6,521万ルーブル(約47億4,434万円、1ルーブル=約1.6円)を拠出し、2023年までにSEZに必要なエンジニアリング、輸送、社会インフラを整備する。

連邦政府によると、現時点でSEZ「ツェントル」に入居予定の企業は6社あり、総額35億ルーブルを超える投資プロジェクトが見込まれている。長期的には、2028年までに90億ルーブル以上の投資、1,400人以上の雇用創出、入居企業による売上高750億ルーブル以上、税収・関税収入は120億ルーブル以上が想定されている。

ボロネジ州は、機械製造や化学工業が盛んなロシア有数の産業地域。長距離旅客機「IL 96」や短距離旅客機「An148」を製造するボロネジ航空機製造や、ロシアのセメント大手イブロセメントなどが立地している。ノボウスマンスキー地区のマスロフスキー工業団地には、古河電気工業の米国子会社とロシア企業の合弁会社OFSが光ファイバーケーブル生産を行っているほか、ドイツのシーメンスの変圧器工場もある。

写真 特区設置予定のマスロフスキー工業団地の風景(ジェトロ撮影)

特区設置予定のマスロフスキー工業団地の風景(ジェトロ撮影)

また、州都のボロネジ市は、日ロ都市環境分野協力でのモデル都市に選ばれ、京三製作所がスマート信号の実証実験、積水化学工業による掘削せずに工事が可能な下水道管改修事業、ナイス(住宅資材卸売り)によるスマートウェルネス住宅の建設が行われた。

(注)工業生産用途の特区が設置されているボロネジ州以外の連邦構成体は、モスクワ州、カルーガ州、トゥーラ州、リペツク州、プスコフ州、タタルスタン共和国、サマラ州、スベルドロフスク州、アストラハン州。

(齋藤寛)

(ロシア)

ビジネス短信 7b55994a4bc4f06d