2018年の正規雇用数、2014年以来の純増を回復

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年01月30日

ブラジル経済省は1月23日、2018年12月の正規雇用統計(CAGED)を発表した。それによれば、2018年の正規雇用の純増数(調整済み値)は52万9,554件と、2014年以来の純増を記録した。ブラジル経済は2015~2016年にGDPがマイナス成長に陥ったが、2017年はプラス成長に回帰しており、この回復傾向を裏づける結果となる(図参照)。

図 正規雇用の純増減数とGDP成長率の推移

業種別にみると、サービス業の純増数が最も多く39万8,603件、以下、商業が10万2,007件、建設業が1万7,957件と続く(表参照)。全ての大区分業種の中で唯一、純減となったのは公的行政業で、4,190件の減少。政府の緊縮財政を反映したとみられる。

製造業は2,610件の純増で、特に製鉄業(7,832件増)、機械製造業(7,917件増)、輸送機器製造業(6,652件増)、医薬・獣医・化粧品など化学品製造業(7,784件増)、飲食料品製造業(1万831件増)の純増数が多い。一方で純減となったのは、非鉄鉱物製造業(1,039件減)、電気資材・通信機器製造業(1,951件減)、紙・段ボール・出版・グラフィック業(5,935件減)、衣料・繊維製造業(2万7,326件減)などだ。

表 2018年の業種別雇用純増減

なお、2017年11月の改正労働法により、新たな雇用形態として導入された、断続的労働制度雇用件数は5万33件の純増、パートタイム雇用件数は2万1,374件の純増となった。経済省のホジェリオ・マリーニョ社会保障・労働局長(注)は、現地の(「エポカ・ネゴシオス」誌1月23日)に対して、「政府は過去の労働法改革によって得られた成果をさらに拡大し、多くの非正規労働者を正規化していく。雇用主と労働者の間における国家の後見的な役割をさらに減じていくことが必要だ」と語っている。ボルソナーロ大統領は2018年10月の選挙キャンペーンで、統一労働法に縛られない、新たな正規労働手帳(グリーン・イエロー手帳)の導入を公約に掲げている。

(注)同局長は連邦下院議員を務め、2017年11月に施行された改正労働法の法案起草者として知られている。

(二宮康史)

(ブラジル)

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