2018年インフレ率、16年ぶりの高騰となる20.3%増

(トルコ)

イスタンブール発

2019年01月18日

トルコ統計機構(TUIK)の発表(1月3日)によると、2018年12月の消費者物価指数(CPI)(添付資料の表1参照)は、前月比0.40%減、前年比20.30%増となり、前年比では、公正発展党政権が発足した2002年(30.84%)以来最大の上昇となった。

CPIは9月をピークに下落傾向

2018年8月の「トルコ・ショック」による通貨下落をきっかけに高進したCPIは、9月の大幅利上げ(政策金利24.0%)などを背景に、9月の前月比6.30%増をピークとして低下、11月、12月は上昇率がマイナスに転じ、インフレは収束傾向を見せ始めている。しかし、トルコ・リラ相場は1月以降1ドル5.4~5.5リラと弱含みで推移しており、輸入インフレ圧力は強く、景気の悪化は続いている。

政府はインフレ抑制策として、10月9日に民間企業による「年末まで最低10%の自主的値下げキャンペーン」と「年末まで電力・ガス価格の引き上げ凍結」を発表した。当初、効果に疑問符が打たれた政策誘導の「奇策」ではあったが、11月に発表された自動車や家具などへの時限減税策(当初年内、のちに2019年3月末まで延長)もあり、インフレ抑制に寄与しているようだ。

11月、12月にコア指数が前月比で下落

年間の上昇率を兼ねる前年同月比でみた12月のCPIは、最大のウエート(23.03%)を占める食料・飲料価格が前年同月比(以下同)で25.11%の上昇となり、中銀の見込み値(29.5%)を下回った。特に未加工食品の上昇が27.09%と高水準に終わったが、10月の34.58%からは大きく改善した。また、8月のリラ相場急落の影響で、9月に46.45%増となった耐久消費財(金を除く)が21.57%増まで収まり、コア指数(主要商品:食品、エネルギーなどを除いたもの)全体でも9月の35.12%から24.67%の上昇になった。サービス部門は、観光シーズンにおけるホテル・レストラン、運輸の上昇が著しかったが、全体では14.46%増と、食品やコア指数などに比べて抑えられた。

12月の国内生産者物価指数(D-PPI、添付資料の表2参照)も、前年同月比で9月の46.15%増をピークに、原油価格の下落などもあり、12月には33.64%増まで低下したが、CPIの約1.5倍と高水準にある。民間部門は、D-PPIのコスト圧力の中、値下げキャンペーンを行ったことになる。また、12月25日付官報で、2019年の最低賃金(ネット)が前年の月額1,603リラ(約3万2,701円、1リラ=約20.4円)から、インフレを上回る26%増となる2,020リラに引き上げられるなど、企業には厳しい状況となっている。

(中島敏博)

(トルコ)

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