スペイン、ベネズエラ「暫定大統領」を条件付きで承認

(スペイン、EU、ベネズエラ)

マドリード発

2019年01月29日

スペインのペドロ・サンチェス首相は1月26日、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領に対し、8日以内に透明性ある民主的な選挙を公示しなければ、1月23日に「暫定大統領」宣誓を行ったフアン・グアイド国民議会議長を承認すると発表した。

仏独英など欧州主要国も追随

スペインの発表を受け、フランス、ドイツ、英国、さらにオランダとポルトガルが相次いで、ベネズエラに8日間の猶予を提示した。

マドゥロ大統領は「EUに猶予を突きつけられるいわれはない。ベネズエラはEUに縛られてはいない。非常に高慢だ」と反発しており、期限内に選挙を公示する可能性は極めて低く、スペイン国内では、グアイド国民議会議長の暫定大統領就任に対する今回の条件付き承認は、実質的な承認と見なされている。

なお、今回の暫定大統領宣誓を受けて、米国や南米諸国、ロシアや中国などが速やかに立場を表明したのに対し、EUは対応が出遅れていた。加盟28カ国の合意が必要とされていたことや、暫定大統領の宣誓が合法かどうかのベネズエラ憲法解釈が必要だったことや、内政干渉を回避する立場を探っていたことが背景にあるとされる。

欧州理事会からは同じく26日、「近日中に」選挙公示を要求する旨の声明が出されたが、ベネズエラと歴史的に深い関係を持ち、EUではなく、イベロアメリカ(欧州・中南米のスペイン語・ポルトガル語圏)諸国の枠組みで交流するスペインは、さらに踏み込んだ要求を期待された。最終的にサンチェス首相は、「8日間」の具体的な期限を設け、他の主要国がそれに続いたかたちとなった。

(伊藤裕規子)

(スペイン、EU、ベネズエラ)

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