欧州委、対米通商協議開始に向け交渉指令案を採択

(EU、米国)

ブリュッセル発

2019年01月21日

欧州委員会は1月18日、米国との通商協議に関するEUとしての交渉権限の付託を得るための交渉指令案を採択した。「工業品に対する関税撤廃」と「非関税障壁撤廃に向けた(基準認証の)適合性評価」を主な内容としており、農業分野は含まれない。欧州委は2018年7月25日のEU米国首脳会談での合意(2018年7月26日記事参照)に基づく対応としている。

米国との共同歩調をアピール

欧州委のセシリア・マルムストロム委員(通商担当)は、今回公開した交渉指令案について、「EU米国首脳合意に伴う共同声明の主たる目標である工業品に関する関税および非関税障壁の撤廃に向けて、欧州委の作業を可能にするもの」と説明。上級作業グループでこれまで議論を重ねてきたカウンターパートである米国通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表との連携を強調し、米国との協議を加速させる姿勢を示した。

EU米国首脳合意で、EU側が約束した「米国からの大豆輸入拡大」(2018年9月21日記事参照)について、欧州委は2018年7~12月に前年同期比で2.1倍の大幅増となったとしている。また、欧州委は米国産大豆のバイオ燃料としての活用も承認する方針を固めており、今後もさらに米国産大豆の輸入が拡大する見通しも明らかにした。

このほか、欧州委は米国からの液化天然ガス(LNG)の輸入も、2018年10~11月に急増したことにも言及し、首脳合意の履行姿勢を強調している。

欧州委が対米通商協議を開始するためには、EU理事会(閣僚理事会)での加盟国による同指令案の承認が必要で、今回の発表でも欧州委は加盟国の了承を求めている。

(前田篤穂)

(EU、米国)

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