英国経済団体は離脱延期よりも政界の合意形成の優先を要請
(英国)
ロンドン発
2019年01月18日
1月15日に英国議会で政府のEU離脱(ブレグジット)合意案が大差で否決された(2019年1月16日記事参照)後、フィリップ・ハモンド財務相、グレッグ・クラーク・ビジネス・エネルギー・産業戦略相およびスチーブン・バークレイEU離脱相は、企業トップに呼び掛けて、ブレグジットの方針に関する電話会議を開催した。電話会議には、英国産業連盟(CBI)や英国商工会議所(BCC)などの経済団体と、大手小売りのテスコや石油大手のBPなど330社の代表が参加した、と現地メディアで報じられている。
英国政府が1月21日に提出を予定しているブレグジット方針の修正案(プランB)をめぐっては、テレーザ・メイ首相が党の枠を超えた議論を行い、2回目の国民投票や3月29日に迫る離脱期限の延期などさまざまな意見が飛び交っている。電話会議に参加した企業からは、ノー・ディール(合意なき離脱)を回避する声や、不透明な状況の速やかな解消を求める声が多く聞かれた。ハモンド財務相は、ノー・ディールの選択肢がプランBからなくなる可能性や、EU離脱が英国の一方的な裁量で撤回し得ることに言及した。一方で、バークレイEU離脱相がノー・ディールを選択肢から除外することはEUとの交渉力を弱くすると反対するなど、閣内でも完全な合意が取れていない状況も報じられた。
1月17日付の「フィナンシャル・タイムズ」紙では、複数の経済団体がプランBに関する政界の合意形成を求める声明を発表したことが報じられた。CBIのジョシュ・ハーディー副事務局長は「離脱期限が延期されるには、(政界の)立ち位置が変化することが必要」として、単に期限を延期することは無駄との認識を示した。BCCのアダム・マーシャル事務局長も、最優先事項はノー・ディールの回避で、延長は政界の合意形成の一助となり得るが、それ自体が到達点でない、とコメントした。また、スモールビジネス連盟(FSB)のマイク・チェリー事務局長も、議会支持を得たプランBがある場合に延長が検討されるべきとしており、延長ありきではなく、まず政界の合意形成を優先すべきだとする見解だ。
(木下裕之)
(英国)
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