個人所得税法改正に伴い源泉徴収の基準を変更
(中国)
広州発
2019年01月07日
国家税務総局は2018年12月19日、「新個人所得税法の全面実施にかかる若干の徴収・管理関連問題に関する公告」(国家税務総局公告2018年第56号)を発表した。2019年1月1日から施行される個人所得税法の改正に関し(2018年9月13日記事参照)、賃金・給与所得、労務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得の源泉徴収額の計算方法を定めたもの。
賃金・給与に累計源泉徴収法を適用
居住者の賃金・給与所得は、累計源泉徴収法が新たに適用される。単月ごとの金額ではなく、各月の累計額を基に税額を計算する。税率は表1を参照。
計算式は以下のとおり。累計で計算することにより、月ごとの収入の幅が大きい場合は、単月ごとの金額での計算よりも徴収額は低くなる。
- 累計源泉徴収所得額=累計収入-累計免税収入-累計基礎控除-累計特定控除-累計特定付加控除-法に基づくその他の控除累計
- 当期の源泉徴収額=(累計源泉徴収所得額×源泉徴収税率-速算控除額)-累計減免税額-累計既納源泉徴収額
毎月の給与が1万元(約16万円、1元=16円)、社会保険料などの控除が1,500元、その他の控除がない場合は以下のとおり。
第1カ月目は次のとおり。
- 累計源泉徴収所得額:10,000(収入)-5,000(基礎控除)-1,500(社会保険料など)=3,500
- 当期の源泉徴収額:3,500×3%=105
第2カ月目は次のとおり。
- 累計源泉徴収所得額:10,000×2-(5,000×2)-(1,500×2)=7,000
- 当期の源泉徴収額:7,000×3%-105=105
非居住者の賃金・給与所得の控除は5,000元のみ
居住者の労務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得は、収入から基礎控除を行った残額を収入額とする。基礎控除は各回の収入が4,000元未満の場合は800元、4,000元以上の場合は20%とする。労務報酬所得の税率は表2を参照。原稿料所得と、特許権使用料所得は20%の税率が適用される。
非居住者の賃金・給与所得は、毎月の収入額から5,000元を控除した後の残額が課税所得となる。労務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得は、毎回の収入額から20%を控除した金額を課税所得とし、月単位で徴収する。また、原稿料所得はその収入額の70%に対して税額の算定・徴収を行う。
(河野円洋)
(中国)
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