2019年度国家予算の国会審議が開始

(イラン)

テヘラン発

2019年01月11日

イラン暦1398年度(2019年3月21日~2020年3月20日)の国家予算が2018年12月25日、ローハニ大統領から国会に提出された。報道などによれば、予算案の骨子は以下のとおり。

  • 予算総額は約1京7,000兆リアル(前年度比約4割増だが、外貨ベース換算は約16%減)。
  • 一般予算は約4,800兆リアル(前年度比約8%増だが、外貨ベース換算は約35%減)。
  • 主な歳入としては、税収が約1,530兆リアル、石油関連収入が1,420兆リアル。
  • 歳出のうち、補助金総額は約1,420兆リアル。低・中所得者層(約7,780万人)に対して毎月44万5,000リアルの補助金を支給予定。また、補助金が投入されているガソリン価格は、1リットル当たり1万リアルで据え置き。
  • 2019年度の為替相場は1ドル=5万8,000リアルを想定(2018年度は1ドル=3万5,000リアル)。
  • 原油価格は1バレル=54ドルを想定(2018年度は1バレル=55ドル)。輸出量は日量100万~150万バレルを想定。
  • 公務員など給料および年金は20%増で設定。

国会提出に際してローハニ大統領は、米国の制裁下にあることを受けて「国内経済・企業活動が正常であれば、石油収入に頼らずに予算を組むことができたはずだ」と、石油収入に頼らざるを得ない現状に言及した。予算案の国会提出に先立ち、政府は12月6日に予算案を発表したが、ハメネイ最高指導者から石油への依存を減らせとの指示があり、それを踏まえた予算案が今回提出されたかたちだ。国会で審議され、通常であれば3月中旬ごろまでに最終的に確定する。

予算案を不満として保健相が辞職

他方、12月30日にはガーズィザーデ・ハーシェミ保健相が、自身の提案で計画した健康保険プロジェクトの予算が不足していることを理由に、辞意を表明した(1月3日にローハニ大統領が同相辞任を受諾)。前年度の予算提出の際には、補助金を減らす方針が発表され、当時の年末年始に発生した抗議活動の1つの要因とも言われている。国民生活にも大きな影響を及ぼす予算編成の動向に注目が集まっている。

(中村志信)

(イラン)

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