2018年の上海市GRP成長率は6.6%、景気減速が鮮明に

(中国)

上海発

2019年01月29日

2018年の上海市の実質域内総生産(GRP)成長率は前年比6.6%で、中国全体の成長率と同じだったが、1991年以来の低水準となった(表参照)。GRPは2017年より0.3ポイント縮小し、景気減速が鮮明になった。サービス業を中心とする第三次産業の成長率(8.7%)は前年(7.5%)より加速したが、新車販売の低迷や米中貿易摩擦の影響により第二次産業は成長率1.8%にとどまり、前年(5.8%)より大きく鈍化した。

表 上海市の主要経済指標(速報値)

消費の指標である社会消費品小売総額は7.9%増とほぼ前年並みだったが、うちインターネット販売は前年の9.6%増から15.8%増に大きく加速した。商品別でみると、家電、アパレル、化粧品の小売額がそれぞれ43.7%増、14.2%増、13.2%増と大きく伸びた。

投資の指標である固定資産投資は5.2%増と、2017年より2.1ポイント減速した。これは、投資全体の8割以上を占める第三次産業(3.2%増)が2017年(7.7%増)の半分以下の水準に鈍化したためだ。一方、製造業中心の工業投資は17.7%増と2017年(5.3%増)の3倍以上に拡大した。対内直接投資(実行ベース)は、2017年の大幅減から、1.7%増と上昇に転じた。

対米輸出は主要市場で唯一のマイナス成長

輸出入総額は5.5%増の3兆4,010億元(約54兆4,160億円、1元=約16円、)で、2017年(12.5%増)の2桁成長から大きく鈍化した。とりわけ、輸出入額の6割以上を占める外資企業の輸出入では、輸出が1.3%増(2017年:7.3%増)、輸入が2.7%増(18.4%増)といずれも減速している。また、主要国・地域別でみると、日本向け輸出が2017年の3.3%増から8.3%増に加速した一方、対米輸出は6.1%増から0.4%減に落ち込み、EUや香港を含む主要市場で唯一のマイナス成長となった。

(劉元森)

(中国)

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