予算修正案踏まえた2019年のGDP成長率予測は1.0%に引き下げ

(イタリア)

ミラノ発

2019年01月07日

イタリアのジュゼッペ・コンテ政権による2018年12月時点での2019年の実質GDP成長率見通しは1.0%となっている。同政権の2018年9月の経済財政文書では、積極的な財政政策の下、2019年のGDP成長率を1.5%と予測していた。その後、財政収支のGDP比を2.4%の赤字とする予算案について、欧州委員会がEUの財政規律違反を指摘し、12月にはイタリア政府側が譲歩して2.04%の赤字幅とすることで合意、GDP成長率の予測値も下方修正した。

修正予算案による2019年の財政赤字幅は、パオロ・ジェンティローニ前政権が2018年4月に発表した経済財政文書での予測値としていたGDP比0.8%の赤字からは拡大しているが、EU側もジェノバで発生した橋の崩落事故発生などの事情を鑑み、インフラ整備などの予算を必要とする事情を柔軟に勘案する姿勢を示した。一部で危惧されていたイタリアへの制裁措置発動は回避され、2018年中に両者間で一応の折り合いがついたかたちだ。

国家統計局は2018年11月の時点で、2019年の実質GDP成長率を1.3%と予測していた。雇用の拡大などを受け、民間最終消費支出を1.2%増、政府最終消費支出については0.3%減としつつ、減速傾向にありながらも3.2%増と予測する総固定資本形成による寄与を期待する見通しだ。

国内の民間機関では、イタリア産業総連盟研究所(CSC)が2018年10月時点で2019年の0.9%成長を予測し、政府の財政計画による1.5%成長の達成は難しいとの見解を示していた。

上記はいずれも政府が予算案を見直す前の予測だが、2019年は米中間の貿易摩擦問題、英国のEU離脱(ブレグジット)、欧州議会選挙などを控え、経済成長率の予測には機関によりばらつきがみられる。

(山内正史)

(イタリア)

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