グアイド国民議会議長が「暫定大統領」宣誓、マドゥロ大統領は米国との国交を断絶

(ベネズエラ)

ボゴタ発

2019年01月24日

ベネズエラのフアン・グアイド国民議会議長は1月23日、ニコラス・マドゥロ政権に対する抗議デモに集まった市民を前に、自由な大統領選挙が行われるまでの30日間の移行政権における長として、自らを「暫定大統領」として宣誓した。1月10日のマドゥロ大統領の2期目の大統領宣誓(2019年1月11日記事参照)を許した反体制派は、同政権の正当性を認めない米国や周辺国などの支持を得ながら、巻き返しの動きを活発化させている。

反体制派の巻き返しが活発化

グアイド氏は、国民議会のバルガス州出身の国会議員(任期2016~2021年)。2019年1月5日に国民議会議長に選任された。35歳と若いが脚光を浴びた。

反対派抗議デモに先立つ1月21日の早朝、首都カラカス市北部において国家警備隊のグループが、マドゥロ政権を違法として蜂起。周辺住民もこれの応援に加わったが鎮圧され、首謀者も逮捕されるという事件があった。他方、最高裁判所は同日、国民議会は違憲で、全ての決議は無効との見解を発表した(注1)。

マドゥロ大統領、グアイド氏支持の米国との国交断絶を宣言

暫定大統領の宣誓を受け、米国のトランプ大統領は1月23日、ベネズエラ国民によって適切に選ばれた唯一の政権として、グアイド氏を暫定大統領として正式に認めるとの声明を発表。これに対しマドゥロ大統領は「帝国主義」の米国との国交断絶を宣言し(注2)、同国の外交関係者に72時間以内にベネズエラから退去するよう求めた。

一方、グアイド議長は同日、ベネズエラに所在する全大使館に対し、ベネズエラにとどまるよう求める書簡を即座に公表した。現地報道によると現在、米国、カナダ、ブラジル、ペルー、コロンビア、パラグアイ、チリ、コスタリカ、アルゼンチン、グアテマラ、エクアドル、ホンジュラス、パナマ、フランス、ジョージア、ドイツ、コソボの計17カ国がグアイド暫定大統領の支持を表明している。他方、キューバ、ボリビア、ウルグアイはマドゥロ大統領を支持するとしている。

(注1)マドゥロ大統領は、立法機関である制憲議会だけでなく、司法機関の最高裁判所でも自身の側近を上級判事に据えるなど、実質的な影響を及ぼしている。

(注2)既にベネズエラから米国へ輸出された原油に対する支払いや、米国内のベネズエラ国営石油公社(PDVSA)の子会社シトゴの扱いについては現時点では不明。

(マガリ・ヨネクラ、豊田哲也)

(ベネズエラ)

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