英国とEFTA加盟国がブレグジットに際する協定に合意

(英国、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)

欧州ロシアCIS課

2019年01月10日

欧州自由貿易連合(EFTA)は2018年12月20日、EFTA加盟4カ国のうち、欧州経済領域(EEA)参加国であるアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーが英国と、英国のEU離脱(ブレグジット)に際しての協定に合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。スイスを除くEFTA加盟3カ国はEUとEEAを形成し、単一市場へのアクセス権を確保している。EEA域内では人の移動の自由を含むEUの「4つの自由(移動)」が適用されている。今回の協定は、ブレグジットによりEUと上記3カ国の間の取り決めの枠組みから英国が外れることになるため、策定されたもの。なお、ブレグジット後の移行期間中、英国はEEAに関する法令を含むEUの法体系に従う必要があり、今回の協定のほとんどの部分は移行期間終了時に適用開始となる(注1)。

協定は、英国のEU離脱協定を基にしており、英国に住む上記3カ国の市民、および上記3カ国に居住する英国市民の権利を相互に保障することに重点が置かれている。移行期間終了時までにEEAの枠組みの下、互いの国に住む居住者は、居住権が引き続き保障される。移行期間終了時までに、5年間以上継続して居住する者には永住権が認められるほか、移行期間終了後も継続居住期間が5年になった時点で永住権が認められる。また、居住が認められる者の家族にも一定の条件の下、居住権が保障される。

そのほか、移行期間終了時までに、EEAの枠組みの下、上市(市販)された製品は、英国と上記3カ国で自由な流通が可能となる(注2)ことが盛り込まれているほか、地理的表示(GI)についても、相互保護を打ち消す新たな取り決めが定められない限り、相互に保護されるとしている。このほか、職業資格の相互認証、社会保障面での協力、データ保護、公共調達、刑事分野での協力などが含まれている。

なお、英国政府は同日、スイスともブレグジットに際しての協定に合意したと発表している。

(注1)本協定は、EU離脱協定と同様に、英国議会の承認を経て発効となる。

(注2)ただし、移行期間終了前に上市されたことに対する証明義務が課せられる。

(福井崇泰)

(英国、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)

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