賃金スト勃発、政府は最低賃金を急きょ改定

(バングラデシュ)

ダッカ発

2019年01月16日

縫製業の賃金をめぐるストライキが1月5日、ダッカ国際空港を中心とした市内各所で勃発した。一部道路が封鎖される事態となり、日系企業にも被害が出ている。ある日系工場は「当社社員がストを扇動することはないものの、社員がストに参加しないことへの逆恨みから建物への投石などを受け、一時操業停止に追い込まれた」と話した。別の縫製関係の日系企業は「給料日前後は縫製工場での暴動が活発になる懸念があることから、社員に対してその時期の縫製工場への営業活動を控えるように指示した」と語った。

バングラデシュ政府は、縫製工場の一般労働者(縫製工)を7つのグレードに格付けし、それに応じた最低賃金を定めている。政府は2018年12月、縫製業のグレード別最低賃金を引き上げ、グレード7に当たる初級縫製工の最低賃金は5,300タカ(約6,890円、1タカ=約1.3円)から8,000タカにアップした(2018年10月1日記事参照)。技術レベルや経験値が高く縫製工場の主力となるグレード3からグレード5に当たる中級縫製工の最低賃金も8,000~9,000タカ台まで引き上げられたが、実際既に8,000タカ以上をもらっている工員も多く、この最低賃金のアップは彼らが納得できるものではなかった。さらに、実際に1月に支払われた12月分の給与も、彼らの期待を下回る水準にとどまったことから、鬱積(うっせき)した不満が今回のストライキというかたちで爆発した。

こうした事態を踏まえ、政府は1月13日、グレード別の最低賃金表を急きょ改定し(表参照)、ストライキの沈静化を図っているが、まだ完全な収束には至っていない(2019年1月16日時点)。

表 ランク別最低賃金引き上げの推移

(古賀大幹)

(バングラデシュ)

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