中国の2017年の流動人口が3年連続で減少

(中国)

広州発

2019年01月04日

国家衛生健康委員会は2018年12月22日、「2018年中国流動人口発展報告」(注1)を発表した。2017年の中国の流動人口(注2)は、前年比で82万人減少の2億4,450万人となり、3年連続で減少した。ピークの2014年と比較すると約900万人減少した。

流動人口減少の原因について、中国人民大学社会・人口学院の翟振武教授は「経済成長の鈍化や、(一人っ子政策開始を受けた)1980年の出生人口の減少と関係がある」としている。同時に、「中国の人口ボーナスの効果はまだ持続可能だ。労働力の30%近くが第一次産業に従事している。高所得国の平均は3.2%で、中国の非農業部門への転換については2億人以上の潜在力がある」と今後の見通しについて述べた(「第一財経」2018年12月22日)。

同報告では、改革開放政策は、農村の余剰労働力が大量に都市に流入することを可能にし、効率の低い産業から効率の高い産業へ、低賃金職位から高賃金職位へ移動することで、扶養能力を高め、社会全体での富の蓄積を促し、経済発展における人口ボーナスを実現した、と評価した。

近年、農民工が沿海部から中西部へ回帰していることについては、労働集約型産業や資源集約型産業が中西部に移転しているためで、人的資源配置の最適化による労働生産性の向上につながっているとした。

(注1)国家衛生健康委員会が2010年から行っている流動人口に関する調査。2018年で9回目。

(注2)半年以上、戸籍が登録された郷・鎮・街とは異なる場所に居住している人口。各市の区内で、戸籍登録地と居住地が異なる場合は対象外。都市部の工場などに出稼ぎをするため、戸籍登録地と異なる場所に居住していることが多い。

(河野円洋)

(中国)

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