両国首脳が会談、カスピ海を挟む輸送分野での協力推進で合意

(アゼルバイジャン、トルクメニスタン)

欧州ロシアCIS課

2018年12月03日

アゼルバイジャンのイリハム・アリエフ大統領は11月21~22日にトルクメニスタンの首都アシガバートを公式訪問し、同国のグルバングルィ・ベルディムハメドフ大統領との会談を行った。首脳会談では、過去両国間で懸案となっていたカスピ海底の資源権益問題は棚上げされ、輸送分野を中心とした協力推進が合意された。

首脳会談でベルディムハメドフ大統領は、8月に開催された第5回カスピ海沿岸諸国会議での「カスピ海の法的地位に関する協定」についての合意(2018年8月13日記事参照)を背景に、「両国にとって大変大きな可能性が広がっている」と発言。トルクメニスタンが推進するアフガニスタンからトルクメニスタンを経由して、アゼルバイジャンからジョージア、トルコ、欧州に至る輸送路構想や、2017年に供用が開始されたBTK鉄道(バクー~トビリシ~カルス)の活用、中国と欧州をつなぐ「東西」輸送路構想にも触れ、「物流分野での活動を活発化させたい」と期待を述べた。アリエフ大統領もトルクメニスタン産原油がバクー~トビリシ~ジェイハンを経由するパイプラインで輸送されていることを例に挙げ、「輸送分野で多角的な大きな将来性がある」とし、両国の協力を積極的に進めることで合意した。

今回の首脳会議に際し、両国間で輸送分野を中心に合計20の文書が署名された。経済関連の文書は表のとおり。

表 経済に関連する合意・覚書・プログラム

両国間では、1990年代からカスピ海底油田の権益をめぐり、相互の非難や大使館の閉鎖など外交関係の悪化と、改善を繰り返してきた。「カスピ海の法的地位に関する協定」でも、海底境界と(海底)資源所有権の所属は明確になっておらず、今回の首脳会議ではその点には触れず、まずは輸送分野での協力を優先させることで両国が一致したとみられる。

(高橋淳)

(アゼルバイジャン、トルクメニスタン)

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