中国の天斉リチウム、SQM株式23.77%の買収を完了

(チリ、中国、カナダ)

サンティアゴ発

2018年12月10日

チリのサンティアゴ証券取引所(BCS)は12月3日、中国の天斉リチウム(Tianqi Lithium)がカナダのニュートリエン(Nutrien)が所有するSQM(Sociedad Química y Minera de Chile)の発行済み株式の23.77%の取得を完了したと発表した。買収額は40億6,600万ドルで、BCS史上最高額の案件となった。SQMはチリの化学大手でもあり、リチウム生産大手としても知られている。チリ銅委員会(Cochilco)が2018年に発表した資料によれば、チリのリチウム採掘埋蔵量は750万トンで世界の52%を占めている。2016年の企業別リチウム生産ランキングでは、SQMが25%と1位になっている。

2018年5月17日の買収発表から買収完了までに時間を要したのには、SQMの大株主フリオ・ポンセ氏が所有する投資会社3社が、本案件の自由競争保護裁判所(TDLC)の承認に対し不服を申し立て、憲法裁判所に提訴したことが背景にある。上記3社の顧問弁護士は、合意事項が法令に順守していないこと、自由競争を促進していないこと、第三者による権利擁護の申し立てを考慮していないこと、などを提訴理由として挙げたが、10月下旬に否決された。

買収の後、天斉リチウムの事業開発マネジャーは「当社はリチウム産業の可能性を長期的にみており、SQMに資金的に参画することは非常に重要だ」と述べた上で、「SQM全ての株主の利益のために、フリオ・ポンセ氏率いる投資家グループ(Grupo Pampa)やその他の投資家たちと良好な関係を築いていきたい」とコメントした。

(岡戸美澪)

(チリ、中国、カナダ)

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