米国産の完成車と自動車部品に対する追加関税賦課の一時停止を発表

(中国、米国)

北京発

2018年12月21日

国務院関税税則委員会は12月14日、米国原産の完成車および自動車部品に対する輸入追加関税の賦課を2019年1月1日から3月31日の3カ月間にわたって一時停止すると発表した。同委員会は今回の措置について、アルゼンチンでのG20首脳会談期間中に開催された、米中首脳会談の合意を実行したものとしている。

発表によると、今回の措置では、(1)2018年7月6日から25%の追加関税を賦課した28品目、(2)同年8月23日から25%の追加関税を賦課した116品目、(3)9月24日から5%の追加関税を賦課した67品目の計211品目が対象となる(注)。(3)の5%追加関税賦課品目のうち、消防車や除雪車を含む一部の特殊用途車両などは、今回の措置の対象から除外された。

なお12月19日には、中国国有食品企業の中糧集団(COFCO)が米国産の大豆を購入したと発表した。今後も、米中首脳会談における合意に関連した動きが続くか注目される。

テスラやBMWなど一部の自動車メーカーに値下げの動き

中国は完成車および自動車部品に対する輸入関税率を、2018年7月1日以降それぞれ15%、6%に引き下げていた(2018年5月24日記事参照)。一方、米国原産の輸入車については、追加関税の賦課により40%の関税を課しており、他国からの輸入車と比較して不利な立場に置かれていた。

今回の措置を受け、一部の米国自動車メーカーおよび米国生産の車種を中国に輸出している外資系自動車メーカーには値下げの動きがみられる。テスラは12月14日、同社のモデル「S100 D」「S75D」「X75D」をそれぞれ11%、5%、7.5%値下げすると発表した〔値下げ後の販売価格はそれぞれ約85万元(約1,360万円、1元=約16円)、約74万元、約80万元〕。また、BMWは米国で生産している「X5」「X6」「X5M」「X6M」などの価格を2019年3月31日までの期間は値下げすると発表、メルセデス・ベンツも同じく3月31日までの間、「GLE SUV」などの価格を引き下げるとした。

「21世紀経済報道」(12月18日)の記事が示した中国税関統計のデータによると、2018年9月の中国の自動車輸入台数は前年同月比13.0%減の9万2,000台で、うち米国原産の自動車は30.4%減の1万5,000台だった。今回の時限的な措置が、輸入車の販売回復につながるか注目される。

(注)品目の詳細は発表のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(小宮昇平)

(中国、米国)

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