米国抜きのTPP11で、RCEPへの関心さらに高まる

(インド)

ニューデリー発

2018年12月27日

環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)が12月30日に発効するが、米国が環太平洋パートナーシップ(TPP)から離脱(2017年1月)したことから、インドでは東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)への関心が従来以上に高まっている。

米国を含む当初のTPP構想に対するインドの懸念は、米国向けのアパレル輸出に悪影響が及ぶことだった。2017年度のインドのアパレル輸出額は輸出全体の5.5%を占め、その2割強が米国向けだ。TPPにより、中国に次ぐ米国へのアパレル輸出国であるベトナムの、米国向け輸出競争力が増すことをインドは不安視していた。しかし、米国がTPP参加を取りやめたことで、この懸念は払拭(ふっしょく)された。インド商工省商業局の幹部はジェトロのインタビュー(12月26日)に対し、「米国がTPPから離脱したことにより、インドに対する影響はほとんどないとみている」としつつ、「今はRCEPの妥結に注力したい。日本とは既に話し合いができており、交渉は大詰めに入っている」と語った。

RCEPをめぐるインドの立ち位置についてはさまざまな議論が交わされている。インドにとっての最大の懸念は、インドの輸入に大きな比重を占める中国からの輸入が一層増える可能性だ。インドの貿易収支は大幅な赤字構造にあり、対中貿易でも電子部品などを筆頭に巨額の輸入超過となっている。インドが強みを持つサービス貿易、特にITサービスの市場開放や、資本規制などの撤廃を、RCEP交渉参加国に求めたい考えだ。

(古屋礼子)

(インド)

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