英国首相、1982年軍事衝突以降初のブエノスアイレス訪問

(アルゼンチン、英国)

ブエノスアイレス発

2018年12月03日

英国のテレーザ・メイ首相は11月29日、G20首脳会議が開催されるアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに到着した。1982年の両国によるフォークランド(マルビナス)諸島における軍事衝突以降、英国首相がアルゼンチンを訪問するのは2001年以来17年ぶり2回目、ブエノスアイレスを訪れるのは軍事衝突以降36年にして初めてとなった。

今回の「初訪問」まで至る背景には、2015年に就任したアルゼンチンのマウリシオ・マクリ政権による対英方針の変化にある。フェルナンデス前政権時にはフォークランド(マルビナス)諸島を政治的に取り扱ったこともあり、2国間の対話は停滞していたが、マクリ政権の発足以降、領土問題は存在するものの、両国政府による前向き、かつ継続的な対話を優先している。

11月30日に行われた両国の首脳会談では、領土問題である同諸島の帰属問題には触れず、2国間の通商・投資関係の強化に向けた認識を確認した。英国側の関心は、ポスト・ブレグジット(英国のEU離脱)における、アルゼンチンを含めた南米地域でのビジネス展開も含まれているとされる。通信分野においては、企業ボーダフォンとアルゼンチン企業テレコンとの間で4G(第4世代移動通信システム)普及に向けた合意を、両国首脳は歓迎した。

なお、タイミングを合わせるように、チリの大手航空会社LATAMによるブラジル・サンパウロからフォークランド(マルビナス)諸島を結ぶ航空便の就航計画が発表された。その一部の便がアルゼンチン第2の都市コルドバを経由することで、アルゼンチンの主要都市とフォークランド(マルビナス)諸島が直接結ばれることとなった。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン、英国)

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