改革開放40周年で習国家主席、対外開放を引き続き進める姿勢を強調
(中国)
北京発
2018年12月21日
習近平国家主席は12月18日、北京市の人民大会堂で開催された改革開放政策開始から40周年を祝う式典において演説を行った。演説では、中国は先進国が数百年かけて歩んできた工業化のプロセスを数十年の時間で完成したこと、国内総生産が改革開放当初の3,679億元(約5兆8,864億円、1元=約16円)から2017年の82兆7,000億元に拡大したことなどを挙げ、改革開放がもたらした成果を強調した。対外開放については、「改革開放40年の実践は、開放が進歩をもたらし、閉鎖が必然的に立ち遅れをもたらすことを啓示している」との認識を示した上で、「責任ある大国としての役割を果たし、グローバル・ガバナンス体制の改革と建設に積極的に参加する」「開放・透明・包摂・無差別の多国間貿易体制を支持する」と述べた。
米中摩擦がさまざまな面に広がる中、米国を名指しはしなかったが、「われわれは覇権主義と強権政治に反対し、世界の平和と発展のために中国の知恵、中国の方案、中国の力量で絶えず貢献してきた」とした一方、「中国はどれだけ発展しても永遠に覇権を唱えない」との立場も示した。また、「中国は他国の利益を犠牲にすることで自らの発展を図ることはない」としながら、「自らの正当な権益を決して放棄することもない」との立場を示した。米国を必要以上に刺激しないように、硬軟両様の発言となるように配慮したようにもみえる。
習国家主席は国内政策について、「1978年12月18日の第11期中央委員会第3回総会以降、中国共産党が全国各民族人民を団結させ、率いて切り開いた中国の特色ある社会主義の道、理論、制度、文化は完全に正しいもので、作り上げた基本理論や基本方策は完全に正しいものだ」と全面的に肯定した。その上で、「改革開放40年の実践は、中国共産党の指導が中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴で、最大の強みでもあることを啓示している」とし、「党中央の権威と集中統一指導を断固として守り、党の指導を改革・発展・安定、内政・外交・国防、党内・国家・軍隊統治などの各分野に貫き、体現しなければならない」とし、共産党の指導を強化する方針を示した。
また、習国家主席は今後の経済発展の方針について、供給側(サプライサイド)の構造改革を重点とし、内需の積極的な拡大や地域共同発展戦略を実施すること、重大リスクの防止・貧困からの脱却・環境汚染防止にも力を入れる方針を示した。さらに、「イノベーション駆動型の発展戦略を実施し、基幹・コア技術の自主革新を加速する」とし、中国製造2025でも取り上げられている半導体などの基幹技術の国産化の加速に向けた姿勢もにじませた。
なお、式典では、「改革のパイオニア」として選ばれた100人が表彰された。経済界からはアリババの創業者である馬雲氏やテンセントの共同創業者である馬化騰氏などが選ばれた。このほか「改革の友好者」として選ばれた10人が表彰された。元国際オリンピック委員会(IOC)会長のフアン・アントニオ・サマランチ・トレジョー氏のほか、日本からはパナソニック創業者の松下幸之助氏と元首相の大平正芳氏が選ばれた。
中央慶祝改革開放40周年表彰工作領導小組弁公室の責任者によると、「改革のパイオニア」の表彰は党中央と国務院が改革開放に貢献した個人に対して表彰するもので、対象には政治的素養が比較的高く、共産党の指導、社会主義制度、改革開放を基本的国策とすることを支持するものが選ばれている(「新華社」12月19日)
(藤原智生)
(中国)
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