欧州繊維産業、ブレグジットのリスクの見通し示す
(EU、英国)
ブリュッセル発
2018年12月25日
欧州繊維産業連盟(EURATEX)は12月19日、その会報(年4回発刊)で、欧州の繊維・アパレル産業界に関わる2018年の景況分析や2019年の景況予測を発表
した。この中で、英国のEU離脱(ブレグジット)について、連盟としての見通しを明らかにした。
繊維・アパレル産業の高リスク国は6カ国に集中
連盟によると、英国を除くEU加盟27カ国の貿易構造や英国に対する貿易依存度などを総合すると、ベルギー、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダの6カ国の繊維・アパレル産業で特に高いリスクが想定される、としている。
英国とこれら6カ国との貿易依存度を繊維製品別に細かくみると、「アパレル・衣料」では、イタリア、ドイツ、フランスが英国にとっての主要な輸入相手国となっており、逆にアイルランド、ベルギーが英国からの主要輸出相手国となっているという。「織物(ファブリック)」では、イタリアとベルギーが英国の輸入相手国上位に、英国からの輸出相手国としてはイタリアとドイツが上位となっている。「人造長繊維」については英国の輸入でドイツが、輸出ではベルギーが主要相手国、また、オランダは「絨毯(カーペット)」の輸出、輸入の双方で英国の主要取引相手だとしている。
同連盟の見方では、ブレグジットの経済的影響は繊維・アパレル産業全体に波及するものの、潜在的に高リスクと位置付けられるのはこれら6カ国に限られるとしている。また、「特に深刻な影響にさらされる商品分野」として「英国から(EU27カ国向けに)輸出される工業繊維品や衣料」を挙げている。
なお、同連盟は「2019年の景況予測」として、繊維・衣料生産の過剰供給が2018年に収束の方向(ソフト・ランディング)に進んだことから、当面は現在の安定した状況が続くとみている。同連盟の予測によれば、2019年の第2四半期(4~6月)もしくは第3四半期(7~9月)まで生産縮小のトレンドは続き、2019年末にかけて「人造繊維」など一部に生産復調の動きも出てくるとしている。
(前田篤穂)
(EU、英国)
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