ビジネスヨーロッパ、「合意なき離脱」回避を強く要請

(EU、英国)

ブリュッセル発

2018年12月13日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は12月12日、英国のEU離脱(ブレグジット)問題をめぐる最近の情勢に対する強い懸念を表明し、英国の「合意なき離脱(ノー・ディール)」の回避をEU・英国双方にあらためて要請した。

欧州議会は再交渉に応じない方針を再確認

ビジネスヨーロッパは「ブレグジット合意に関する英国議会での採決延期の動きは企業活動に不透明感をもたらし、ノー・ディールとなった場合、深刻な経済問題を引き起こす懸念がある。こうした事態は回避すべき」と警鐘を鳴らす。英国が少なくとも2020年12月末まではEUの関税同盟や単一市場にとどまる、と規定する移行期間を含む離脱協定案は、欧州産業界にとって重要な意義がある、としている。

この移行期間中に、ブレグジットに対する準備や調整を進めようと考えていた産業界にとって、移行期間が認められないノー・ディールは想定外の事態で、その準備には相当の覚悟を要する、と同連盟はみている。

また、欧州中小企業連合会(SMEunited)は12月12日、ブレグジット問題をめぐる現状について、英国議会での採決延期などの遅れは「中小企業にとっての事業環境の不透明性を高めるだけだ」と指摘し、12月13~14日の欧州理事会(EU首脳会議)の場で議論されることを念頭に、「一刻も早く、われわれ、中小企業の将来の事業環境の先行きを明確にしてほしい」とコメントした。

なお、ブレグジット問題をめぐる現状を危惧する欧州議会では12月12日、主要会派代表とブレグジット問題対策グループ(BSG)が会合を開き、あらためて「ブレグジット合意をめぐる再交渉に応じない」方針(2018年12月12日記事参照)を確認した。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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