米農務省が大豆農家への73億ドル支援を発表、貿易紛争の影響緩和支援金第2弾

(米国)

シカゴ発

2018年12月27日

米国農務省は12月17日、外国による不当な貿易報復措置により被害を受けた農家や酪農家への支援策として、第2回の補助金支給を開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。7月にパーデュー農務長官が発表した最大120億ドル規模に上る農家支援外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの一環で、9月には第1回の補助金支給を開始しており、今回が最終となる。

対象となる農産物は1回目と同様、殻付きアーモンド、綿、トウモロコシ、乳製品、豚肉、ソルガム(モロコシ属)、大豆、サクランボ、小麦の9種類だ。同長官は「農家は外国による不当な貿易報復措置による損失を引き続き被っている。この支援は、新年に向け、(農家の)短期的なキャッシュフロー問題を助ける」と強調する。

農務省は補助金の支払総額を約95億7,000万ドルと見込んでいるが、大豆が全体の約7割に当たる72億6,000万ドルを占める。

なお、大豆輸出に関しては、中国による7月からの25%の報復関税措置(2018年7月10日記事参照)発動以降、同国向け輸出のキャンセルが相次いでいたが、同省は12月13日に113万トンの大豆が中国に輸出されたことを公表した。それ以後、14 日に30万トン、19日に119万9,000トン、20日に20万4,000トンと、20日までに合計283万3,000トンが中国に輸出されたことが明らかになっている。

今回の支援策発表を受け、米国最大の農業者団体であるアメリカン・ファーム・ビューロー連合のジッピー・ドゥバル会長は、報復関税により被害を受ける多くの農家を助けるものだ、と一定の評価を示すものの、「持続的な最善の救済策は中国、カナダ、メキシコ、インド、トルコ、EUのような貿易相手国の関税の改正と貿易を推し進め続けることだ」と訴えた。

一方、全米トウモロコシ生産者協会(NCGA)のリン・クリスプ会長は、実際の損失が1ブッシェル(約35.24リットル)当たり44セントであることに対して、「(補助金が)1ブッシェル当たり1セントでは、トウモロコシ農家が感じている損失を埋めるには悲惨なほど不十分だ。農務省は、多くの農家が直面している現実を考慮に入れなかった」と失望を示した。

(仁平宏樹)

(米国)

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