G20首脳会議が閉幕、首脳宣言では国際ルールを重要視
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2018年12月04日
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催されていたG20首脳会議が12月1日に閉幕した。「公正で持続可能な開発のためのコンセンサスの構築」といった主要テーマの下、2日間にわたる協議の末、ブエノスアイレス・サミット首脳宣言が成果文書としてとりまとめられた。
これに先立つ11月17~18日にパプアニューギニアで開催されたAPECでは、2018年に入って貿易摩擦を激化させている米中による意見対立によって、首脳宣言が採択されない事態となったが、今回は首脳宣言を取りまとめた。
ブエノスアイレス・サミット首脳宣言では、「ルールに基づく国際秩序」を改善するために協働する、と確認した。貿易面では、多角的貿易体制が果たしてきた貢献を認識するものの、改善の余地があるとした。また、WTO改革を支持することが表明された。一方、宣言において「保護主義と闘う」というフレーズが、発足後10年を迎えたG20において、初めて盛り込まれなかった。
また、米国とその他の国々との温度差も垣間見えた。2015年12月の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された、2020年からの国際ルールであるパリ協定に関して、締約国は同協定が不可逆的であることを再確認するとともに、その完全な実施にコミットする中、米国はパリ協定からの脱退の決定をあらためて表明することを宣言に盛り込んだ。
ホスト国だったアルゼンチンにとっては、閣僚会合も含めたG20開催期間中の治安維持が課題となっていたが、1年間にわたって大きな混乱もなく、その務めを果たした。G20首脳会議期間中もブエノスアイレス市内の一部でデモが発生したが、限定的だった。アルゼンチンにとっては、2017年12月のWTO閣僚会合、2018年10月のユース五輪に続き、大型イベントを滞りなく開催できる国として実績を重ねた。
首脳会議の終了をもってG20議長国がアルゼンチンから日本に移った。2019年のG20サミットは、6月28~29日に大阪国際見本市会場(インテックス大阪)での開催が予定されている。
(紀井寿雄)
(アルゼンチン)
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