2019年の最低賃金決まる、平均引き上げ率5.3%

(ベトナム)

ハノイ発

2018年12月17日

ベトナム政府は12月13日、2019年の最低賃金に関する政令157号(157/2018/ND-CP、11月16日付)を公表した。最低賃金は2019年1月1日から、月額で平均5.3%引き上げられる。1年ぶりの改定で、前回の平均引き上げ率6.5%を下回った。

最低賃金額は、地域別に設定されており、ハノイ市、ハイフォン市、ホーチミン市を含む地域1が前年比5.0%増で418万ドン(約2万482円、1ドン=約0.0049円)、地域2(ダナン市、バクニン省など)が371万ドン(5.1%増)、地域3(ハナム省など)が325万ドン(5.2%増)、地域4(地域1~3以外)が292万ドン(5.8%増)に改定される(表参照)。

表 地域別の月額最低賃金比較

政令の策定に当たっては、労働者代表の労働総同盟(VGCL)と使用者代表のベトナム商工会議所(VCCI)、政府代表の労働・傷病兵・社会省で構成される国家賃金評議会で、7月から8月にかけて議論されていた。当初、VGCL側は8%の引き上げを提案したのに対し、VCCI側は現状維持を主張するなど大きな隔たりがあったが、8月の第3回会合で平均引き上げ率を5.3%とすることで合意した。今回、政令で規定された賃金水準は、この合意に沿ったかたちとなった。

最低賃金改定の議論では、前年のGDP成長率や消費者物価指数(CPI)上昇率、社会労働生産性向上率などの指標が参考とされる。最低賃金上昇率は年々下がっており、以前は前年のGDP成長率とCPI上昇率を大きく上回っていたが、近年その差は縮小、もしくは逆転している(図参照)。

図 最低賃金上昇率(平均)、CPI上昇率、GDP成長率の推移

(庄浩充)

(ベトナム)

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