航空宇宙と鉄道分野で新規産官共同プロジェクト開始

(英国)

ロンドン発

2018年12月18日

政府は12月6日、英国全体の生産性と収益力を引き上げることを目的に2017年11月に策定した産業戦略(2017年12月28日記事参照)のうち、航空宇宙と鉄道分野での「セクター・ディール」の開始を公表した。セクター・ディールは、各産業分野(セクター)特有の問題に産官共同で取り組み、生産性や雇用、イノベーション、スキルを大きく改善させることを目的としたもの。これまで、ライフサイエンス、自動車、クリエーティブ産業、人工知能(AI)、建設、原子力の分野で実施されている。

航空宇宙分野PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、基金から1億2,500万ポンドを投じて、クリーンな(低炭素化による)成長と将来のモビリティーの需要に適合した技術のイノベーションを推進する。ここでは、ドローンや電気飛行機など新しい航空機、新しい空域管理モデル、地方の航空市場の新規開拓などの開発・実施に投資する。そのほか、中小企業の競争力強化の支援、女性の同産業への参入、産業界と教育界の連携による有能人材の輩出なども盛り込まれている。

鉄道分野PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、(1)鉄道輸送力の拡大、より多くの(鉄道運行に関する)データの顧客へのシェア、乗客サービスの向上による乗客の鉄道利用経験の改善、(2)通勤の広域化や企業間の物流における鉄道利用の拡大による経済の改善、(3)鉄道への投資を通じた、鉄道産業内のサプライチェーンの改善、の3つに力を入れる。そのほか、信号や交通管理へのデジタル技術の活用も柱となっている。

英国航空宇宙安全保障産業連合(ADS)と英国鉄道産業協会(RIA)は、今回のセクター・ディールについて歓迎の意を示している。ADSは「今回のセクター・ディールは、世界の航空宇宙産業および航空産業にとって、英国が最も魅力的な国の1つであり続ける意思を示したものだ」とコメントした。

(鵜澤聡)

(英国)

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