2019年も景気減速が続く見通し

(フランス)

パリ発

2018年12月27日

国立統計経済研究所(INSEE)は12月18日、2019年の実質GDP成長率を第1四半期(1~3月)が前期比0.4%、第2四半期(4~6月)が0.3%と予測した(表参照)。この成長ペースが2019年後半も続けば、通年の実質GDP成長率は1.0%にとどまる見通し。実質GDP成長率は2017年に2.3%とピークを付けた後、2018年は1.5%と減速、2019年も減速傾向が続く。

表 2019年の経済見通し

2019年は、マクロン大統領が「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)運動」対策として打ち出した低賃金労働者向け特別手当の支給や、残業手当にかかる所得税・社会保険料減免などの政策措置を受け、家計購買力が前年比2.0%増と、前年の1.4%増から大きく改善する見通し。

消費者物価上昇率も、原油価格の下落に加え、炭素税引き上げの見送りや電気・ガス料金の凍結などの影響から、2019年6月は前年同月比1.0%の上昇と2018年12月の1.9%から大きく低下する。

購買力の改善を受け、民間最終消費支出は、2019年第1四半期が前期比0.7%増、第2四半期が0.5%増と勢いを取り戻す(2018年第4四半期は0.2%増)。住宅投資は2018年第3四半期からの縮小が続くが、民間設備投資は法人向け社会保険料の軽減措置による企業収益の改善などから、2019年第1四半期と第2四半期はともに0.6%増と持ち直すとみられる(2018年第4四半期は0.1%増)。

他方、外需は世界的な景気減速を受け、輸出が伸び悩む一方、輸入は2019年第1四半期が前期比0.8%増、第2四半期が0.7%増と堅調な伸びを続けるため、外需の寄与度は2四半期続けてマイナスとなる見通しだ。

INSEEは景気の下押しリスクについて、米中対立の長期化、英国のEU離脱など、国際政治・金融の不透明性の高まりが投資抑制につながる可能性があると指摘。国内では「黄色いベスト運動」の今後の動きや、2019年1月から始まる所得税源泉徴収の消費マインドへの影響などが懸念材料になるとした。

(山崎あき)

(フランス)

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