旧朝鮮半島出身の労働者訴訟、賠償判決がまた確定

(韓国)

ソウル発

2018年12月05日

韓国・大法院(日本の最高裁に相当)は11月29日、日本統治時代に「強制労働を強いられた」として、旧朝鮮半島出身の労働者や遺族、旧朝鮮女子勤労挺身(ていしん)隊員の女性らが三菱重工業に損害賠償を求めた2件の訴訟の上告審で、いずれも原告1人当たり8,000万ウォン(約800万円、1ウォン=約0.1円)の賠償を命じた二審判決を支持し、三菱重工業の上告を棄却し、同社の敗訴を確定させた。10月30日の上告審(2018年10月31日記事参照)に続き、日本企業側の敗訴となった。日本政府は1965年の日韓請求権協定で個人請求権問題が解決済みとの立場だが、大法院は「日本政府の不法な植民地支配および侵略戦争と直結した日本企業による反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の請求権は協定の対象に含まれない」との判断を示した。

これを受け、韓国・外交部は11月29日の定例ブリーフィングで、「三権分立の基本原則に基づき、行政部は司法部の判断を当然尊重するべき」とし、「強制徴用された被害者の苦痛と傷を癒すために努力していく」ことを明らかにした。

一方、一部の韓国メディアでは、韓国政府の日韓関係に対する対策が明確でないことを懸念する論調もある。日刊紙で発行部数3位の「中央日報」は社説で、「10月の最高裁全員合議体での結果により、11月29日の賠償判決は予見されていたにもかかわらず、日本政府に自制を求めるだけで、効果的な対策を打ち出せずにいる」とした(11月30日)。経済紙発行部数トップの「毎日経済新聞」は社説で、「日本が一糸乱れず対応している一方、韓国政府は徹底した対応策を用意せず、反日感情をかき立てた」と指摘した(11月29日)。

(末永敏)

(韓国)

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